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The White Rose Of Virginity(完)
5


数年後、とうとうエリス戦争は魔導師の敗北で幕を閉じた。世界では人々は喜びに歓喜をあげていた。


「やっぱ、悲しい?」


王都の東にある町で人々が喜んでいる姿を見ているレインズに、ユリアンは尋ねた。
レインズは遠い目で喜びを分かち合う人々を見ていた。


「さぁ?俺は追放処分をうけた魔導師だ。でも、これで戦争は終わったんだ。喜ぶべきじゃないか」


ユリアンは何もない左肩を触った。
戦争のせいで失った大切な家族と腕。


「墓参りにいくか?」


レインズは尋ねた。
ユリアンの母親の墓のことだ。ユリアンは頷いた。


「よし、んじゃ、今日はもう休むか」


いつもならもっと剣術を教えろ、と文句を言うユリアンもこの日は何も言わなかった。二人は簡単に宿屋の手配を済ませ、その日は早くに床についた。
夜中、あまり寝付けなかったレインズは酒場へ向かった。

レインズはカウンターに座ると、酒を飲んだ。


「隣いいかしら。」


不意に声をかけられてレインズは声のほうを見らずに頷いた。
声からして女性だろう。
女性はとても美しかった。
しかし、女性は次の瞬間レインズの想像していなかった質問をする。


「あなた、魔導師でしょ?」


レインズは一瞬、目を見開いたがすぐに冷静になった。


「それが?」


女性は興味深げに笑った。


「意外と冷静なのね。」


「殺そうとしても魔術を持つ俺のほうが上だからな」


たいした自身ね、と声が聞こえた。


「私は別にあなたを殺そうとは思わないの、ただね、実験のためにあなたの血が少し欲しいの」


レインズが女性を見た。


「私はイノセンス。大丈夫よ、少し寝ている間に終わるから」


突然、腕に鋭い痛みが走った。
注射針だ。
そして睡魔が襲った。

レインズはあっという間に意識を奪われた。
イノセンスは親しい関係と回りの人に説明し違和感もなくレインズを連れて行った。





翌朝、レインズは体にだるさを感じながら起き上がった。
宿屋のベッドに寝ていた。
隣ではまだ、気持ちよさそうにユリアンが寝ている。


「夢、か」


と小さくつぶやきレインズはいやな背を流そうと風呂場へ向かった。服を脱いでいるとき奇妙な違和感を感じた。
鏡だ。
鏡に映った背中を見ると、刺青が入っていた。

大きい魔法陣のような刺青。

腕をみると注射針で刺された痕があった。


あの女、一体俺の血を使って何を!?


考えても仕方のないことだ、とレインズは思い、イノセンスのことを無理やり頭の隅に追いやった。



ユリアンの母の墓はすぐに着いた。
戦争が終わった今なおも、瓦礫のままの町のなかにあった。墓はレインズのおかげで立派なものになっていた。墓の周りだけは花畑のように色鮮やかになっていた。
他の犠牲者たちも墓を設けられていた。

あの町での生存者はユリアン一人だった。
他にもいたがすぐに皆、息を引き取ってしまったのだ。


「母さん、戦争が終わったよ」


ユリアンは墓に向かって話しかけた。


「母さんが俺を託した奴は嫌味なやつだけど、間違ってなかったよ」


ユリアンは離れた場所で他の墓の手入れをするレインズをみた。


「俺さ、王国に復讐しようと思う。母さんはきっとやめろっていうだろうけど俺はやるよ。あいつも復讐なんて無駄って思っているけれど、何ひとつ俺のやることに文句を言わないんだ。ただ俺に生きるための術を教えてくれている。母さん、守ってくれてありがとう」









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あきゅろす。
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