英雄達の軌跡 欲しいもの バン!とリーナは執務室のドアを閉め、部屋を出て行った。 「よろしかったのですか?」 エフゲニーは冷静にタチアナに言う。 「何が?」 「あの娘は閣下に反論した反逆罪に問われるのでは?」 「そんなの、私が言わなければ分からないでしょう?ここには私とあなたしかいなかったんだし」 タチアナは椅子から立ち上がり、窓の外を眺める。 ちょうどリーナが官邸から出て来るところだった。 リーナは一旦足を止め、タチアナのいる部屋を見上げた。見上げたと言うよりは睨み付けたに近い。 「……フフッ」 それを見て、タチアナは小さく笑い出した。 「?」 「アッハハハ!いいわあの娘、気に入ったわ!」 タチアナは高らかに笑う。 エフゲニーはやれやれと首を横に降る。 「いつか必ず、私のものにしてやるわ」 タチアナは去るリーナの後ろ姿を眺める。 「またタチアナの悪いクセが……」 エフゲニーの苦難は続く。 [*前へ][次へ#] [戻る] |