英雄達の軌跡 Aと遺産 『Aと遺産』 無限に広がる荒野に、爆撃による振動と轟音。それを背に受けながら、ブレードライガーは粉塵を切り裂きながら駆け抜ける。 「お姉ちゃん後ろから来る!」 「!」 ライガーはブースターを反転させ後方からの狙撃を避ける。 「お姉ちゃん横からも来るよ!」 「ちっ!ダニー、敵の数は?」 「10、20体はいるよ!」 「多すぎる……!ダニー、シールド出力調整して!」 「え、え?ブースターじゃないの?」 「これだけの数振り切るのも大変よ。ある程度は倒さないと」 「う、うん、分かった!」 ダニーが作業にかかろうとした時、ダニーはセンサーに写るものに気付いた。 「あ、あれ?お姉ちゃん前!」 「前にも敵が!?」 「違うみたい。見た事無いゾイドだし…」 それはリーナ達が今まで見た事の無いゾイドだった。白く整った機体は美しく、凛としていた。 白いゾイドは足取り軽やかに走り出す。リーナは一瞬身構えたが、ゾイドはそのままライガーとすれ違った。 「敵、じゃない…?味方?」 砂中からガイサックが次々と現われた。白いゾイドは物怖じすること無く、瞬く間にガイサックを撃破した。 「そんな、私が目で追えないスピードなんて…」 リーナが唖然としている間も、白いゾイドは次々とガイサックを倒していく。 ガイサック達は突然の乱入者に恐れをなしたのか、散り散りに逃げて行った。 「助かった、のかな?」 「そう、みたいね…」 白いゾイドのキャノピーが開き、人の声がした。 「怪我無いかい?」 一瞬男性に思えたが、すぐに女性だと分かった。 リーナとダニーはライガーから降り、恩人に礼を言う為、白いゾイドに近付く。 「誰だか知らないけどありがとう。助かったわ」 「それは良かった」 キャノピーから声の主が降りて来た。 「見て見ぬふりなんてしたら、何でも屋の名折れだからね」 ―本当に、女の人… 「ん?何?」 リーナがじっと見ている事に気付き彼女は首を傾げる。 「あ、あの、本当にありがとう。ライガーあんまり調子良くなかったから」 「そうみたいだね」 「あ、あの……」 リーナは伺うように彼女を見る。 「大丈夫、私は敵じゃないよ」 彼女がニコっと笑うと、リーナはようやく安心した。 「私はリーナ、こっちは弟のダニエ、ダニーよ」 「私はエースだ。よろしく」「……エースって、あの何でも屋の?」 「そ。どうぞご贔屓に♪」 この奇縁が深い絆になるのは、もう少し後の話。 ――――――――――――― 刹魔さんのオリキャラエースと絡ませてみました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |