英雄達の軌跡 軌跡の記憶 「ダニー?どこー?」 ある昼下がり、リーナは村中を歩き回っていた。 いつものおやつの時間に、弟がいなくなったのだ。 「あらリーナ、一人でお散歩?」 「あ、マリア伯母さん」 父の姉で、リーナの伯母にあたる。 「違うの、ダニーがいないの。ジークもいないからたぶん一緒だと思うんだけど……」 「じゃあ、見掛けたらお姉ちゃんが探してたって言っておくわね」 そう言って、伯母はにっこり微笑む。 「そうだ、これからクッキー焼こうと思うんだけど、どう?」 「行く!ダニー見つけたらすぐ行くね」 「ええ、待ってるわ」 空は雲一つ無く晴れ渡っていた。 まだ懐かしいとは言えない、5年前の記憶。 [次へ#] [戻る] |