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短編
名は体を表す

ねえ、

あなたは知ってる?
私の、名前の本当の意味を……


私の名前「Fine」
それは……









―名は体を表す―


レムリア島から帰る途中、フィーネはふとバンに尋ねた。
「名前の意味?」
「うん。人の名前とか、物の名前ってみんな意味があるでしょ?バンの名前にはどんな意味があるのかな?て」
「ん〜〜……」
バンは暫く考え込んだ。
「゛野蛮゛の゛蛮゛?」
「ぷっ……」
バンがあまりにも真剣に答えるので、フィーネは笑いを堪えられなかった。
「わ、笑うなよー」
「だ、だって……」


―お前は自分の名前の意味を知っているのか?


リーゼに言われたの……

私の名前は不吉なんだって……

FINE 終わりなんて……







「フィーネ?」

「え…?」
「どうしたんだよ?急に黙りこんで」
「あ……ごめんね…?」
「え?な、何で?」
「何となく……ごめんね……」






すっかり夜になり、今夜は野宿することになった。
食事を終えて、寝床の支度をしながらも、フィーネはまだ考え込んでいた。
リーゼに言われたあの言葉が、何度も何度も頭の中でぐるぐる回っている。

バンに話してみようか?

でも何を?

だけど話してみたらスッキリするかも……


「……ネ…!フィーネ!」
「え!?」
驚いて顔を上げると、バンが心配そうに自分の顔を覗き込んでいた。
「どうしたんだよ?さっきからぼーとして」
「な、何でも無いわ。ちょっと疲れてるだけ」
「にしては顔色悪いぜ?」
「本当に何でもないわ」
フィーネはそう言って笑顔をつくって見せた。
無理に笑ったから変な笑顔になったかもしれない。

「フィーネ…」
バンはそっと、フィーネの頬に触れた。
「俺には何でも話してくれよ?それとも俺、信用無い?」
「違うわ!」
フィーネはすぐに否定し、それに呼応するかのように涙が流れた。
「違うの、私…私、どうしたらいいのか分からなくて……」
フィーネは全てを話した。話すうちに、少しづつ心が軽くなるのを感じた。
話している間、バンはただ黙ってフィーネの肩を優しく抱いていた。

「ごめんね、バン……」
「謝んなよ。むしろ俺は嬉しいぜ。フィーネが話してくれて」
「バン……」
「俺さ、フィーネの名前が不吉だからって、フィーネの事嫌いになったりしないぜ。フィーネはフィーネだからさ」
「バン……」
あの時一瞬だけ見えた、リーゼの過去……
あんなに悲しい事が、自分にもあるんだろうか?

でも私は――

「バン、私ね、バンに会えてすごく幸せ」
「な、何だよ急に」
「だって、もし私とジークをみつけてくれたのがバンじゃなかったらって考えるだけで、怖くて……」
フィーネはまたすすり泣いた。

彼女は「恐怖」というものを誰よりも知っている。だから恐れているのだ。
「失う」ことを……


「フィーネ……」
バンは優しく囁き、フィーネを抱き締める腕に力を入れた。
「大丈夫さ。何があっても、俺達はずっと一緒だ」
フィーネはバンの顔を見た。その目には確かに、光が見えた。
「前に言ったろ?俺にはお前が必要なんだ」
「バン……私、バンと一緒にいてもいいの?」
「ああ」
「私が、」
「いいんだよ。俺はフィーネといたいんだから」
「……」


どうしてだろう……
彼の言葉は、私の不安や恐れを全てを消してくれる。


どうしても抑えきれなくて、フィーネはバンに抱き付いた。
「ち、ちょ、フィーネさん!?マジ抱擁はちょっと!///」




―この人と生きていこう。何があっても。






「終わり」は、何も悪いことばかりではないのかもしれない。
「恐怖の終わり」
「悲しみの終わり」

そして―――
















私の名は「終焉」

「希望」という名の貴方がいるなら

私は「始まり」となるでしょう


明日の光を夢見ながら 夜が
終わることのない暗闇が私を包み覆い隠そうとも

「希望」という名の貴方がいるなら
私は「始まり」となるでしょう



「希望の始まり」と……







Fin



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あきゅろす。
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