スマブラ
2
「待て待てー!」
「ピカー!」
花が咲き交じる芝の上で、ピットとピカチュウは追いかけっこをしている。
そのすぐそばに生えているハートの器が実る木の下では、寝そべるアイクと子リンク、ゼルダがその二人を眺めていた。
「あいつ等、昼寝するって言ったのに……」
なんだかムスッとした顔で呟く子リンクに、ゼルダがクスリと笑う。
「子リンク、あなたも一緒に走ってきたら?」
「いえ、俺は姫を守らなきゃいけませんから!」
胸を張って力強く答えた子供リンクに、ゼルダは困ったように笑った。
アイクはなにも言わないものの、視線で走ってこいと子供リンクへ語りかける。
「ピッカーっ!」
「あっコラ返せよ!」
見かねたピカチュウが子リンクのブーメランを持ち去った。
慌てて子供リンクもピカチュウを追いかける。
「やっぱり元気ですね」
ギャーギャーと叫びながら走り回る子供たちを、ゼルダは楽しそうに眺める。
「うらやましいか?」
「とっても!」
笑いながら、ゼルダも背中を地面に倒した。
「小さい頃、訳もなく駆け回っていたのも今ではいい思い出ですね」
空を見上げ、昔を懐かしむように目を細めたゼルダを、アイクは横目で伺った。
「……意外だな」
「自分でもそう思います。
今は乱闘で動いているけど、昔は勉強とお仕事ばかりでずっと座ってばかりでしたし」
苦笑いしながら言うゼルダ。
まだ瞳は空へ向けられている。
「……でもね、私は走り回ってる方が好きなんです。
それは今でも変わっていません」
ゼルダとアイクの視線がぶつかった。
視線を反らさずにゼルダが続ける。
「ここは、私を素直にしてくれる。
だから大好きなの。ここにいる人も、ここを見ている人も」
笑いながら言い切るゼルダ。
今度は自分が空を眺める番だ、とアイクはゼルダから視線をはずした。
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