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スマブラ
リンクは回り道


スマブラザ城では今日も優秀なファイター達がエキサイティングな乱闘を繰り広げている。


運が良いのか悪いのか、ゼルダはこの日休みなく乱闘に参加することになっていた。


「乱闘は嫌いじゃないけど、ずっと続くというのはつらいものがあるわね」


疲れた顔でゼルダは隣を歩くシークに話しかけた。
すでに6回のバトルを終えた後で、彼女も彼も少し疲れた顔をしている。


「姫、残りの乱闘はすべて私が…………」

「シーク、あと4試合あるのよ?
無茶なことを言っちゃだめ」


苦笑いしながら言うゼルダに、シークは視線を足元に移した。


「大丈夫、次はストック制よ。
5分で終わらせて少し休みましょう」





ゼルダの宣言通り、乱闘は5分近くで片が付いた。


リンクとゼルダVSガノンとダークリンク

ガノン組が途中で仲間割れしだして自滅していったのだ。


「幸運ね」


いすに座り一息つくゼルダ。
だったら、とシークが口を開く。


「残り15分、一階で休まないか?」


一階には食べ物があるし、自室もあるので落ち着ける。

ゼルダは頷くとシークの手を取り立ち上がった。


「おーーいゼルダーっ」


自分を呼ぶ声に振り返ると、リンクが此方に走ってくる。


「これ、使ってくれ」

「まあ、ハートの器?
ありがとうリンク!」


シークと一緒にその器を抱きしめると、たちまち彼女たちから傷が消えていく。


「それ取ったはいいけど、俺はあんまりダメージ受けてなかったからさ」


みるみる元気になるゼルダを見て、リンクは顔をほんのり赤らめながら言う。


「2人は次も試合だろう?俺、代わろうか。
まだ体動かし足りないんだ」

「ありがたいけれど……シーク?」


これってありなのかしら、とゼルダが困った瞳で問いかける。


「………………リンク、頼んだ」

「ああ、任せてくれ!」

「ありがとうねリンク」


胸を張って引き受けたリンクにゼルダが笑って礼を述べる。


「いや、本当に乱闘したいだけだから気にしないでくれ」


ゆるんだ顔で去っていくリンクに、シークはやれやれとため息をついた。

疲れてるお前を放ってはおけないんだ!

……くらいなことを言えば、ゼルダも少しはときめくだろうに。




「姫っ!」


声とともに、前方から子供リンクがやってきた。
その後ろにはアイク、ピカチュウ、ピットを引き連れている。


「これからみんなで鬼ごっこなんです!姫もやりませんか!?」

「楽しそうだけど、疲れてしまうから部屋にいるわ。
この後も乱闘があるの」

「それなら仕方がないですねー…………」

苦笑いしながら返すゼルダに、子リンクが眉を下げた。


「なら、寝るか」

「え?」


唐突に口を開いたアイクにゼルダが聞き返す。


「外で」


断片的に話すアイク。
ピットがああ、と声を上げる。


「お昼寝ってことですねっ!?」

「ピッカー!」


背を向け歩き出すアイクをピットとピカチュウが追う。
子供リンクがゼルダを伺うと、彼女はシークの手を取り引きずるところだった。


「行きましょうシーク」

「……後から行く。どこで寝るんだ?子リンク」

「多分ハートの木の下だと思うけど」


ハートの木とは、ハートの器が実る不思議な大木だ。
そこなら木陰で快適に休めるだろう。


「姫、先に行っていてくれ」

「シーク?なにか用事なら付き合うわよ?」

「子供リンク、姫を頼んだ」


そう言い残し、浮身で姿をくらますシーク。


「行きましょう、姫っ!」


邪魔者は消えた、と子供リンクはご満悦そうだ。


「えぇ……」


シークが消えていった煙を見つめ、ゼルダはその場を去った。



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