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スマブラ
5



「一口大に切ったバターを」

「一口大に切ったバターを……」


ゼルダは一生懸命サムスの言った言葉を繰り返しながら調理している。


「がんばれゼルダー!」

「ええ、ありがとう」


カービィのかけ声に、ゼルダは笑顔で返した。


「邪魔しちゃだめよカービィ」

「お前に比べれば長距離走のあとの酸素のようなものだ。
次、熱したフライパンに溶かす」

「熱したフライパンに溶かす……」

「次、フライパンでケチャップライスを炒める」

「フライパンでケチャップライスを…………え!?え!?」

「ピーチっ!」

今まさに卵液を流し込もうとしたのを慌てて止めるゼルダ。
イタズラに笑うピーチをカービィがあわあわと止める。


「ピーチ、お前もう一回外出てろ」

「いやーん!」


忘れずにドアの鍵も閉めたサムスに、カービィは少しだけピーチに同情した。






「もういい、火を止めろ!」

「はい!」

「手を休めるな、外の固まってる部分を内側に寄せるんだ」

「はっ、はい」

「なんか大変そうだな、ゼルダ……」


一生懸命サムスの指示について行こうとしている姿がかわいいと、リンクは頬を緩めた。


「……だめだ、遅すぎた。
恐らく半熟ではないだろう……」

「そんな……」

「まあでも固めか半熟かは好みだからな、気にすることはない。
ほら次も焼くぞ」


少ししょぼくれたゼルダをサムスが慰める。


「料理ってたいへんだなあ」


意外とシビアなんだね、と、マルスがしみじみと呟いた。






「ゼルダっ!」

「はいっ!」


サムスのかけ声でゼルダがいそいでフライパンから卵を移した。


「今回のはもしかしたらもしかするかもな……」


割ってみろ、とサムスがゼルダにナイフを渡す。


「……あっ!」


卵に刃を入れるとゼルダが声を上げた。
スルスルと切り開いていくと、中からトロトロと半熟の卵が零れてきた。


「やったあ!」

「大成功じゃないか!こんなにきれいにできるなんて!」


抱きつきあって喜ぶゼルダとサムス。
特にサムスは自分でも出来る確証のない快挙に目を輝かせている。


「ねー!ひょっとしてもう出来上がったんでしょーっ!」


外からピーチの声が響いて、ゼルダとサムスは顔を見合わせた。


「あれ?ピーチは外にいるのかい?」

「私たちが行く」


立ち上がりかけたマルスをサムスが制した。
ゼルダが完成したオムライスを持ってドアに近寄る。



「ピーチさん、見て見てこれ!」

「うわあ!すっごく綺麗に出来たのねー」


すごいすごいと手をたたくピーチに、ゼルダも嬉しそうに笑う。


「はやくケチャップでなにか書かなきゃ!」

「はいっ!」


興奮してはしゃぐ2人を見て、サムスはこれまでにない達成感を感じた。
2つのオムライスに何を書こうか悩むゼルダと助言するピーチに思わず頬がゆるんだが、それを恍惚と眺めているリンクとマルスの顔を見て思わず銃を取り出した。


「見るな!汚れる見るな!」

「ふざけんな!俺たちが癒されて何が悪い!」

「そうだよ!美しい女性の戯れる姿を僕たちだって拝見したいさ!」


ギャーギャー騒いでいたサムスとリンクが、不意に静まった。


「……マルスは帰ってくれないか」

「なんか……連れてきてごめん」

「なんでいきなり攻撃ターゲットが僕に限定されてるのさ!?」




「はい、書けましたー!」



ゼルダの明るい声が響いた。
サムスとリンクがパッとそちらを向くと、オムライスにはケチャップで『ピーチさん、サムスさん』『 いつもありがとうV』と書かれていた。



「ゼルダ……っ!」


かわいいやつめ……っ!、とサムスはゼルダを抱き込んだ。
横からピーチがゼルダの頭を撫でている。

ゼルダの顔はすっかりピンクに染まっていて、リンクとマルスは心の底から着いて来ちゃってごめんなさい、そしてありがとうと顔を逸らした。









しっかり者の長女
少しおてんばな次女
そんな2人が大好きな三女




「ピーチさん、あーん」
「うふふ、とってもおいしいわ、ゼルダ!」
(ああ、かわいいかわいいかわいい!)
「女の子っていいよな……」
「夢が詰まってるよね……」
「……?よくわからんがみんな幸せそうだな」
(なんでアイクは事情を把握できてないんだろ……)





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