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スマブラ
3



ハートの木を風が撫でる。

アイクはひたすら空を眺めた。


再び目があったら、絆されてしまう気がする……


どうするべきか考えていると、子ども達の笑い声に紛れて聞こえてきた吐息にアイクはゼルダを向いた。



ゼルダは目を閉じて寝息をたてている。
微かに開いた口元がいつもの賢明さを少し失わせていた。

……そうだ、昼寝にきたんだから眠ればいい。


瞳を閉じたアイクの耳に、誰かの足音が聞こえてきた。
誰かと思い目を開けると、そこにいたのはリンクだった。


「…………よぅ」

「ああ」


一言挨拶を交わすと、アイクは再び瞳を閉じた。
リンクはゼルダの横に腰を下ろし、すやすやと眠るその顔を眺める。


「気持ちよさそうだなぁ……」


リンクは思わず手を伸ばし、ゼルダの髪に触れた。
柔らかくしなやかな感触に、リンクは夢中になって髪を撫でる。

ゼルダはそれをものともせずに寝息をたてている。


頬を触っても起きそうにないな…………


リンクはゼルダの白い肌へ手を伸ばした。


「それはさすがにセクハラだろう」


いつの間にか、アイクは体を起こしハートの木にもたれ掛かっている。

リンクはパッと顔を赤らめた。


「セクハラなんてしていないっ!」

「黙れ、起きる」


怒鳴るリンクにアイクが顔色一つ変えずに言う。

リンクの声で覚醒したゼルダは、そのままの体制で2、3度まばたきするとむくりと体を起こした。


「……リンク!
乱闘はもう終わったの?」


しばらく呆けていたが、リンクの存在に気づき慌てて立ち上がる。


「いや、多分今頃終わる頃だと思う。
あのあとシークが来て『やっぱり代役はだめだ』って言ってきたんだ」

「まぁ……」


シークったら、もうちょっと人を頼ればいいのに……

ゼルダは生真面目な護衛に軽くため息をつく。
やはり彼は休む気などなかったのだ。


「ごめんなさいねリンク。
せっかく代わろうとしてくれたのに」

「あ、いや、俺、別に……」

「シークを迎えに行ってくるわ。
アイク、また一緒に話しましょうね」


言うなりゼルダはフロルの風を使って姿を消した。



「……少し遅かったみたいだな」

ポツリとリンクが呟いた。


「お前が来るのがか?」

「ああ。
シークが二人きりにさせるのはまずいから早く行けって言ってきたんだ」


リンクがアイクの目を見据えながら言う。
アイクは何となく目をそらした。


「なにがまずい」

「惚れたりしたらまずいだろ」

「ゼルダは恋なんてしないだろう」


さっき話してみて薄々と思った。

ここでのゼルダの好意はきっと一種類。友に対する親愛以外持ち合わせてはいないだろう。
自分といるときもリンクと話すときも、彼女の目には恋の煌めきは宿らない。


下げていた目線をリンクに合わせる。
リンクは強い眼差しでアイクを見据えていた。


「お前は?」


アイクは唖然としたようにリンクを見つめる。


「お前は姫に、惚れないのか」


くっと眉を寄せる。


「……答えるまでもない」

「……へえ」


しばらくして口を開いたアイク。
返事を聞くと、リンクはコロシアムへ歩いていった。





疑心暗鬼と語らず屋



(アイク、結局答えなかった)(リンク、あいつ誤解してるな)



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あきゅろす。
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