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短編小説
3

「ってめぇら……っ」

「んだよ、まだ死んでねぇのかよ」


呻いた仲居さんに不快そうに眉を顰めると、男の一人が上から足を振り下ろした。


「ガッ……!」


一瞬小さく仰け反ると、仲居さんは今度こそ意識を飛ばした。
それでも男は止まらず意識のない体を蹴り上げようと足が引かれる。


「っもうやめろ!」


必死に仲居さんのもとに駆け寄る。
アスファルトで切ったのだろう、俯せになった仲居さんの額から血が流れていた。

初めて経験した血生臭い状況にグッと眉が寄る。


「なんだこいつ」

「知らねーっす」

「冴側のやつには違いねえんだ、やっちまえ」


男の言葉で残りの2人が目つきを変えて俺を見た。
好戦的そうな男がスッと俺の前に立ち、掲げたバッドを振り下ろす。

ドゴォッッ


重々しい音が耳に響く。

……冴の香りがして俺はそっと目を開いた。
冴が俺を庇うように抱きしめている。
バッドを腕に受け、俺の体をしっかり抱えるようにしながら相手を睨んでいる。

男は思わず、というように後ずさりし手からバッドを落とした。


「てめぇら……」


俺が茫然と冴を眺めていると、そのまま腕をおろして冴が口を開いた。


「人がわざわざ巻き込まないようにしてたやつを巻き込みやがって。
史上最強に胸くそ悪ぃんだよ……」


ちらりと視線を移せば男達はみな酷く青ざめていた。
その後ろでピクリと仲居さんが身を震わせる。
意識が戻ったみたいだ。


「溢……」


俺の耳元で冴が言った。



「これはもう付きっきりで看病しねえと返せねえ貸しだからな」

「……ほんと馬鹿だお前」


冴が俺から身を離した。
それからは一瞬。


奴らをボコボコに伸した後で俺達は仲居さんの車に乗り込んだ。


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あきゅろす。
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