Andante
二日目
文化祭二日目は高等部の学内発表である。
つまり中等部は一日フリーというわけだ。
時雨も一緒に文化祭を見て回れないかと思い尋ねてみたが、生徒会役員はそれぞれ出し物の評価など仕事がありそうもいかないらしい。
「随分浮かれてるな。せっかく時間があるんだからサッカーに費やせ」
生徒会とは思えぬほど学校行事をないがしろにした発言である。
俺はジト目で時雨を見た。
「年に1回しかない文化祭の日を他のことに費やせようとするなよ」
「明日もあるだろ。サッカーは積み重ねが大切なんだから、行事があろうと……」
「わかった、わかったから。仕事頑張れよな、会長」
見かねた慧が話をそらすと、時雨はため息を落としてその場を去った。
「……なあ、慧」
「ん?」
「今の、冗談だと思うか?」
「……どうだろうなあ」
2人で顔を見合わせ、苦笑いする。
あいつはどこまでサッカーばかなんだ。
そんなわけで、俺は高等部の出し物を慧と2人で楽しんだ。
昨日に引けを取らないクオリティで、一日中回ってもまだ遊び尽くせなかった。
続きは明日だな、なんて言いながら慧と一緒にクタクタになって部屋に戻る。
明日は文化祭三日目、一般公開の日。
文化祭本番とも言える特別な日であった。
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