Andante
出だしは順調?4
日出学園で初めて受けた授業はとても難しかった。
俺のことを知らないまっさらな人達と仲良くなるのも少しだけ怖かった。
けれど、この学園では珍しく頭の悪い俺を先生は虐めたりしないし、クラスのみんなも優しくて、俺は転入初日、クタクタになりながらも笑顔で部活に向かった。
次の日も、その次の日もそれまた次の日も、しばらくは平和だった。
そうしばらくは。
「ひょーりゅーくん」
平和な町に突如ボム兵が降ってきた。
……彼の姿を見たとき、そんな心境だった。
俺が慧お手製の弁当をパクついていると、早々に食事を終えた慧は先生直々に呼ばれた。
何でも資料を運ぶのを手伝って欲しいらしかった。
慧は俺まで引っ張っていこうとしたけど中身の残った弁当を置いて席を立つなんてとんでもない。
俺は先生に引きずられていく慧を見送った。
お昼はみんな食堂らしく、教室に残るのはいつも少数だ。
その少数派もどうしてだかその日は慧の後を追うように教室を出て行った。
教室独占というなんとも寂しい状況下、黙々と弁当を口に運んでいるとガラガラとドアが開かれた。
そこにいたのは思わず見惚れてしまうような美少年だった。
彼はポツンとその場に残る俺に笑みを向けると、これまた綺麗な声で、ねっとりと俺の名前を呼んだのだった。
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