Andante いざ!4 「んじゃあ氷柳は仲間の後ろ、藤咲の前な。席空けといたから」 どうやら席は名前順のままらしい。 二人とも手ぇ上げろー、と先生が促すが上がった手は一本だ。 あれ、と思いながらそこへ向かえば、空席の前に座っていた人が手を下ろしてにこりと笑った。 「はじめまして氷柳君。僕は仲間由紀夫って言うんだ、よろしくね」 「よ、よろしく」 愛嬌たっぷりに笑う彼に惜しい、あと一文字!なんて思いながら椅子を引く。 にっこりと笑う仲間君は決して彼女に似ていないのに赤いジャージを連想させた。 ちなみに藤咲君の席だと思われる俺の後ろは空席だった。 始業から休むなんて生徒の俺から見てもいい度胸だ。 空っぽの席は、ある意味強烈なインパクトを残した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |