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School wars
03

×5時間目×
(「大丈夫、まかせてッ!」「あのさぁ、とりあえずそのキラキラしたウインクとピコーンていう効果音止めてくんない?」)



「あれ?」

「今度はなんだ?」

「あれ、小動物触れ合いコーナーだって」


陽が次に興味を示した場所は兎などを触らせてくれる場所。
おかげで女子がごった返してる。



「あん中に行くのか」


俺は入る前からげっそりしていた。
何故なら、こいつと居ると女子の目が否応無しに向くからだ。

自分が見られているならモテているということで自慢になるが、こいつに対しての視線しかあるわけがないので隣に居ると惨めになってくる。



「え?嫌なの?」

「女子の目がな」

「大丈夫、まかせてッ!」

「あのさぁ、とりあえずそのキラキラしたウインクとピコーンていう効果音止めてくんない?」


余計気分が重くなる。

王子様オーラ全開でウインクをされたときに近くにいた女子が倒れたのは日差しの所為だということにしておこう。




「つーか、お前に任せて大丈夫だった試しがねぇだろ」

「泥舟に乗った気でいてよ!!」


胸を張っている陽に仕方ないから任せてやろうかという気分になる。



「ん?ちょっと待て、お前泥舟って言わなかったか?」

「え?うん」

「それって沈んじまうだろうが!!沈んだら元も子もないだろ」

「えー。だって、泥舟の方が大きいでしょ」

「何で昔話のことが混ざってんだよ。縁起でもねぇから止めとけよ。始めっから大船って言えばいいだろ」

「それじゃつまんないじゃん」

「楽しさを求めてねぇからいいんだよ」

「俺が嫌なんだよ」

「このッ・・・・はぁ。もういい。疲れた。行くなら行くぞ」

騒いでるうちに女子が増えていたので諦めて触れ合いコーナーへ足を進めた。




「さて、透は小動物好きだったっけ?」

「・・・・いや、どっちかってぇと苦手だな」

「そう。僕は好きだよ」


へー。意外と普通な感性もあるんだな。

と、感心したのが間違いだった。


「だって、こういうの見てたら捻り潰したくならない?想像するだけで楽しくなってきちゃうね。透とは違った意味で好きだよ」

「やっぱり、お前はお前だな」

頬が引きつる。
相変わらず言うことがえげつない。

「で、透が苦手なのはなんで?」

「別になんだっていいだろ?」

「言わないと・・・」

目を細めてにじり寄って来る陽。
その手には白い兎。

「こうするぞ!!」

「どわっ」


がばっと顔に温かいものが覆いかぶさる。

引っ付いてるそれを取れば、陽が抱いていた兎。

持ち方がわからず危なっかしい抱き方しかできない。


「あー。だから嫌いなんだよ・・・」


口をついて出た言葉。


「え?どういうこと?」

「・・・・動物は嫌いじゃねぇけど、ちっせぇのって扱いに気をつけねぇとすぐに死んじまいそうだから嫌いなんだよ」



そう。
俺は大の動物好きだ。
だけど、小さい生き物はどうやって扱えばいいのかわからないから苦手だ。



「やだ。なにこの子。可愛すぎー!!」

「ぎゃー!キモい。キショい。離れろぉおお!!」


人のことを可愛いといって抱きついてきた陽。
悲鳴を上げて全力で離れようとするが、前から思いっきり覆いかぶさられれば逃げることは出来ない。


「は・な・れ・ろーーー!!」


上にある陽の顔を突っぱねて何とか拘束から逃れる。





「はぁ。はぁ。・・・・なんでお前、そんな・・・涼し、そうな顔・・・してんだ」


全力で戦っていたので俺は息を切らせて座り込んでいる。
それに対して陽はへらへらと締りのない笑顔を浮かべている。
といっても、普通に見れば王子様スマイルだが、俺からはそう見えるのだ。


「透は体力がないんだよ。そんなんじゃ女の子に愛想つかされるよ?」

「は?」



体力と女子と何の関係があるんだ?



突然の言葉に固まる。


「ああ、透にはこう言ったほうがいいかな。体力なくてセックスするのに先にバテてたら格好つかないよってこと」



にっこり笑ってさらりととんでもない発言をぶちかました。



「なっ、てめ、真昼間から何言ってんだ!!」

「えー。寧ろ夜にそういう話をしてるほうが信憑性ありすぎてヤバいんじゃない?」

「ば、や、だから・・・あ〜」


結局俺は顔を片手で覆ってそのまま蹲る。


「あはは。童貞の透には刺激が強すぎた?」

「っだから、そういうことを平気で言うなボケ!!」



ん?



「お前、シたことあんの?」

「黙秘権を行使します」

「てめっ、何時の間に!!」

「え〜、そんなのどうでもいいじゃん。それとも、毎回報告しなきゃいけないの?いついつに何処で誰とヤって何回イきましたって」

「だー!!公共の場でそんなこと言うな」

「はは。透、顔真っ赤」




結局、俺の動物との触れ合いは白兎一匹と珍獣一匹とだけで終わった。


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