School wars
02
×4時間目×
(「白黒はっきりしやがれ!!!」「とりあえず落ち着け。相手はシマウマだ」)
さて、到着したのは目的地の動物園。
俺らは遠足という行事のためにここにいる。
イベントごとと言えばやっぱりあれだろ!
カップル発生率の高さ!!
俺は意気込んでこの場に来たつもりだった。
なのに、なのに!!
「何が悲しくてお前と二人で動物園巡りしてんだよ!!」
「静かにしてよ。他のお客さんに迷惑だろ」
「てめぇにだきゃ、言われたくねぇ」
思いっきりウザそうな顔を向けてきた陽。
その綺麗な顔をぼっこぼこにしてやろうか。
「あ、あっちにライオンだって」
行こう。
そう言ってさっさと歩き出してしまった。
「はぁ」
あいつを一人に出来るわけもなく、俺は溜め息を一つ吐いてその背を追いかけた。
「うわーカッコいい!!」
子供のようにはしゃぐ陽。
その姿に笑ってしまうのは仕方ないだろう。
決して馬鹿にしているわけじゃない。
似合わないとは思うが、微笑ましいと思う。
「あ、あっちに透の仲間が居るって」
看板を指差しながらそう言ってきた陽。
そこには・・・
これより先、霊長類。オラウータンやチンパンジーを間近で見ることが出来ます。
と書かれていた。
「俺は猿と同類か!!」
「え?違うの?」
「違うわ!!」
「でも、霊長類だよね?」
「じゃあ、お前を檻にいれてやるよ。きっと珍獣として有名になれるだろうよ」
「あ、いいけどその分ギャラは弾んでね」
「どんな仕事だよ!!」
失礼すぎるこいつに突っ込んでいると嫌でも人目を引いてしまう。
「透。煩ーい」
「誰の所為だよ」
「そんなのお前の所為に決まってるだろ」
「ちげーよ!お前の所為だよ!!ほんっとに人の神経逆撫でするの上手いな。コノヤロー」
「褒めるなって」
「褒めてねえ!!」
「わかったから。ほら、シマウマさんもいるよー。見に行こう」
さらりと流れを変えてまた勝手に移動を始めた。
俺の気苦労は耐えない。
「白黒はっきりしやがれ!!!」
「とりあえず落ち着け。相手はシマウマだ」
先に行った陽に追いつくとそこには不審人物が一人。
勿論陽のことだ。
あんまり無茶なことを言っているもんだから条件反射で返してしまった。
「あ、透。来たの?もう、聞いてよあいつってば本当にはっきりしなくってさぁ。白なら白で黒なら黒にしろっての」
「そうだな。確かにお前の言うことは小さい頃の餓鬼なら誰もが言いたかったことだろう。だが、まさかこの年になって言う人間がいるとはな・・・」
「え?俺って若いから」
「いや、なんか違うだろ」
「あーもう、俺じゃなくて今はあいつらについてだよ!!」
ビシッと指を差した先には当然シマウマがいる。
ああ、平和そうに草を食べて。
羨ましいよ。こんちくしょう!!
「だって、あんな優柔不断なことがあって良いと思う?駄目でしょ。いっその事灰色になればいいんだよ」
「そしたらシマウマじゃなくなるだろ。それにあいつらだって苦労してるんだよ」
「え、どんな?」
「どんなってそりゃあ、ああやって色が特別だからって檻の中で一生過ごしたりするんだぜ?自由はないわ、人にじろじろ見られるわで、お前耐えれるか?」
「無理だね。そんなことになったら、見に来た奴全員を呪い殺すね」
もうちょっと苦しいとか可愛い返事を期待してたんだけど・・・。
いや、こいつらしいか。
「・・・・・だろ?ほら、あいつらだって可哀想なんだからこれ以上酷い事言うなって・・・」
無理やり理由をでっち上げたのだが、陽を説得するには十分だったようで、今は大声で謝っている。
「すまなかった!もう白黒はっきりしろなんて言わないから強く生きるんだよ!!」
ああ、相変わらずこの破天荒な人物と居るのは無駄に体力を使う。
遠くからその痛い光景を眺めていた。
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