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School wars
02

×2時間目×
(「曖昧だな」「それが売りだから」)



「あのよ・・・」

「うん。なんだい?」

「お前、なんで俺と同じ高校選んだ?」

「あはっ、今更だね」

「ああ、俺もそう思うよ。そしてつくづく疑問だよ。お前なら本当はもっと上のところを狙えただろ?」



俺達が通っている高校は地域じゃ一流の進学校と呼ばれているが全国区では中堅レベルだ。
全国でもトップレベルのこいつが居ること自体おかしい。
普通に推薦でどこにでも入れただろうに、わざわざ一般試験を受けてこの学校に来た。



不思議だ。不思議だと思ってはいたが、人生を棒に振るほど馬鹿ではない奴だと思っていた。



「ん〜。まぁ、色々とあってね」

「色々って具体的になんだ?」

「色々」

「曖昧だな」

「それが売りだから」

「つまり、言う気はないってことだな?」

「えー。聞きたいの?聞いたら後悔するかもよ?」



にやりと笑う陽に悪寒が走る。
本能が聞くなと警告を発している。

長年の付き合いで、こいつがこんな顔をしているときは碌なことを言わない。

唾を飲んだときのゴクリという音がやけに大きく聞こえた。



「わかった。もう聞かねぇよ」

「そう?残念」

「俺が悪かった。謝るから余計なことはするなよ」


先に釘を刺しておく。






数分後、只何となく近所で起きたあほな出来事を話していたら、突然遮られた。


「そうそう。実はね、高校を選ぶ条件に家から近いこととか学費が安いこととかを考えていたんだけどさ、透と出会って変わったんだよね」

「だー!!嫌な予感がするからそれ以上言うな!!」

「面白い玩具がないと退屈するから絶対に同じところに行こうって」

「・・・・・・・・・」


俺は固まった。
薄々気づいてはいたが、まさか本当にそんな理由でこの学校に来たとは思わなかったのだ。



中学で進路の先生が泣いていたのを思い出す。

確か、こいつに何とか超有名進学校に言ってくれと懇願していた気がする。
しかし、こいつはあっさり「嫌です」とのたまって、この学校を受験したのだ。
ああ、世の中には死ぬほど勉強してそこを受験する人間だっているのに。
あまりの不条理さに泣きたくなってきた。



「透?聞いてる?」


目の前で手のひらをちらつかされて我に返る。


「お前、何考えてんだよ!高校によってある程度の進路が決まっちまうんだぞ!!」


俺は思わず怒鳴る。
そりゃあそうだろう。
自分の存在で誰かの生き方が変わってしまうなんて恐ろしい。
例え自分に非がないとしても。



「あれ?俺の心配?やさしいね。透は」

「こんな時に茶化すなよ!」



笑っている陽に怒鳴る。



「茶化してなんかないよ?透、俺をあんまり見くびらないでね」

とん

こんな細いからだの何処にこれだけの力があるんだろうか。
確かに俺も細いほうではあるが部活のおかげで力はあるほうだと思う。
なのに、今は簡単にフェンスに押し付けられてしまった。



「俺が、学校ごときで人生を左右されると思ってんの?だとしたら、考えを改めたほうがいいよ。俺はそれ位じゃ痛くも痒くもないんだ」



そうだ。こいつは別に誰かに教えてもらう必要なんかないんだ。
全部自力で、一人で行なえる。
だから、学校に来る必要だって本当はない。
全部、独学で出来てしまうはずだ。


「・・・寧ろ、独りになったほうが辛いよ。下手したら発狂するかもね。だから・・・」




そこで一度言葉が途切れる。


「だから、透、一生俺の玩具でいてね」

「結局、俺は玩具っつー価値しかねぇのかよ!!」



言わずには居られなかった。




感動しかけたさっきまでの俺の純粋な気持ちを返せ!!


「馬鹿だね。透は。透以外は皆ガラクタなんだよ?玩具としての価値もない」

ビクッ

時折見せる陽の黒い表情。
意図せずして体が震えた。

「ああ、安心していいよ。残念なことに世界テロを起こして人類を滅亡させるっていう夢は六歳で捨てたから」

ああ、こいつの頭はやっぱり規格外だ。
六歳でんなこと考えるってどうよ?
恐すぎるだろ。
そんな餓鬼とは友達になりたくねぇ。
いや、現に今友達というか腐れ縁ってポストにそいつがいるけどな・・・。





けど、こうやってアホなことを言っている普段の陽だということに酷く安心した。




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あきゅろす。
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