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School wars
02

×11時間目×
(「くだらない戯言に耳を傾けてる暇はないんだよ」「お前のその一言一句が戯言だ」)




図書館に着いた俺と陽。
直射日光を浴びない席を陣取って参考書やら辞書やらを出す。
適当に突っ込んできた筆箱やノートを準備していざやろうとした俺。



「なぁ、ひとつ聞いていいか?」


俺は向かいの席に座る陽に話しかけた。
勿論小声で。


「お前、何読んでんだ?」

「え?詩集」

「帰れ」


勉強しようとする俺の前で本を読み出したそいつに殺意を抱いた瞬間だった。


「え?だって、一人じゃ透寂しいでしょ?」

「お前がいたら精神的にダメージを受ける気がする」

「大丈夫だよ」

「何の根拠があって?」

「え?ほら、俺役に立つし」

「お前より辞書の方がよっぽど役に立つ」

「比べる対象が悪いでしょ」

「いや、とにかく、俺の目の届かないところで読んでろよ。気が散る」

「いや、陰ながら応援するためにはこの距離が・・・」

「応援いらないから」


切り捨ててやると、しぶしぶといった様子で陽が斜めの席に移動した。


「・・・・・・・・・・・あのよ、変わんねぇだろ?」

「え、向かいより良くない?」

「どっちにしろ視界に入るだろうが!!」

「透、煩い」


にっこりと非難してきた奴。
俺は図書館という公共の場で大声を出した所為で迷惑そうな目を向けられたり、好奇の目を向けられたりした。
全ては斜め前にいるこいつの所為だというのに!!


「俺邪魔してないじゃん。さっさとやんなよ」

「っ、はいはい」


俺が耐えればいいんだろ!

内心不満で一杯だったが、奴のいうことも道理なので静かに勉強を始めた。
そこでポツリと呟かれた一言。


「くだらない戯言に耳を傾けてる暇はないんだよ」

「お前のその一言一句が戯言だ」


ムカついてノートから顔を上げて陽を睨みながら言う。
見上げたとき、酷く表情のない冷たい眼差しをした陽がいて、背筋が凍った。
けれど、すぐにいつものへらっと締まりのない笑顔を俺に見せる。


「あはっ、透に言ったわけじゃないよ?」

「他に誰がいるんだよ」

「霊とか?」

「止めろ。俺がそういうの苦手なの知ってんだろ!?」

「うん。ワザと」

「鬼か!」

「違うよ〜。魔王様」

「お似合いだよ・・・」



どこまでも爽やかな笑顔を浮かべる陽に俺は反論の余地もなかった。
そして、奴の真意を知ることは永久にないだろうと思った。


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