School wars
05
×7時間目×
(「わー、すっごい眼が血走ってる」「昨日1日プ○キュアのテーマソングが頭から離れなくて眠れなかった」)
「おはよー」
だるい身体を引き摺って教室に入れば、一番最初に目に入ったのは奴。
高遠 陽だ。
いつもの人のいい笑顔を浮かべて俺を見ている。
「はよ」
挨拶を返す元気もない俺はそれだけ言うと、さっさと自分の席に向かう。
と言っても、あいつの隣なのだが。
なんの因果だろう。
奴とは必ず近くの席なのだ。
呪いの一種かもしれないと考えたのも数回ではない。
「あれ?元気ないね?具合悪いの?」
俯いていたため陽には顔が見えていなかったらしく、心配そうに顔を覗いてきた。
「わー、すっごい眼が血走ってる」
「昨日1日プ○キュアのテーマソングが頭から離れなくて眠れなかった」
「あれ?透ってプ○キュア好きだっけ?そういう趣味?」
「お前の所為だろ。お前が帰りのバスで人の隣で歌ってたんだろうが!!」
「え〜、人に擦り付けないでくれない?超迷惑」
「どの口が言ってるんだ?この野郎」
ぐいぐいと陽の両頬を横に引っ張って伸ばす。
「おぉ、よく伸びるな」
今なら自分の目が据わっていたとしても仕方ないと思う。
昨日、家に着いてからぐったりしたまま夕食や風呂を終えて寝ようとベットに入ってからが悪夢だった。
普段ならベットに入って本を軽く読んでたら寝れるのだが歌が勝手にリピートされ続けていつまでも睡魔が襲ってこなかったのだ。
しかも、陽が歌う音の外れた歌が繰り返し聞こえてしまうのだ。
何度寝返りをうっただろう。
気がつけば朝だった。
おかげで昨日から一睡もしていない。
こんなアホな理由でなんてありえない。
俺の睡眠時間を返せってんだ!
「ほめんひぇ。ひゃわりにふぇすのうひゃうひゃてあぐぇる」
「何言ってるかわかんないな」
一層強く引っ張ってやった。
本気で痛がり出したので止めてやると、奴の頬は真っ赤になっていた。
「ごめんね。代わりに別の歌歌ってあげるって言ったんだよ」
「まだ言うか?この口は」
「わー。ごめん」
もう一度引っ張ってやろうとすると素早く逃げた。
「代わりに、今日の勉強した分のノート写させてあげるから許してよ」
「当然だ」
陽が言ったのは、授業中に寝てしまえ、ということだ。
その日俺が起きていたのは昼休みの昼食の時間だけだった。
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