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雪月花

「な?プリクラ撮ろう、れいんちゅわん」
「プリクラはイヤ」
「そんな事言わない言わない。二人で撮ろうぜ?」
「イヤ」
「さては照れてるな?
大丈夫、れいんちゅわんならめちゃくちゃ可愛く撮れるって」
「…」

終いには無視される始末。
れいんの神童に対する態度は相変わらずだな。
そんな神童嫌いのれいんが同行するってのは少々意外だし興味があるが、今の俺には遊んでる時間なんてないんだ。

今日こそはちゃんと勉強せねば。


「じゃあな、せいぜい俺の分まで楽しんで来てくれや」
言って、俺は踵を返す。

そんな俺の背中に、
「じゃあなって、そっちは反対方向だろ?
駅まででも一緒に帰ろうぜ。それとも、何か用事あるんか?」
神童から至極当然な質問が投げ掛けられる。

―――すっかり忘れてた。
俺が浅葱の家、即ち実家に帰ったって事を連中に報告するのを。

今までの黒霧の家からだと学校までの距離も中途半端だったし、電車通学をしなきゃダルい距離だった。
それが、浅葱の家に変わってからは徒歩でも通える距離になったのだ。
方向は以前と全くの逆方向になるってワケだが…

そうか、何だかんだで最近じゃコイツらと一緒に帰る事も全然なかったからな。
そりゃ俺が当たり前な顔して駅と反対方向に帰って行ったら不思議にも思うわ。

説明するのも面倒だけど、コイツらには言っておくべきかとも思うんだよな。
別に隠す必要もないし。
今言わないでまたの機会に…とか言って忘れる可能性もあるし。

「いやぁ、俺の家あっちになったんだよ」
と、駅と反対方向を指さして神童達に告白する。

「え、何?どゆこと?」
まぁ当然の反応だわな。
れいんが神童達を嘘で丸め込んだ時を思い出すぜ。

「そのまんまの意味さ。ほら、俺が事故ってから黒霧の家に引き取られたってのは知ってるだろ?
漸く実家の方と話がついて、戻る事になったんだよ。
1ヶ月程前にな。」

「まじか!?」
と、神童。
「えぇ、何でもっと早く言ってくれなかったのぉ?
じゃあこの間忍の家に行ったの、無駄足だったって事じゃん〜…」
と、咲羅。

「なかなか言い出せなくてすまんかった…な…
って、
え?咲羅、何?来たって…え?黒霧の家に?」
危ねっ!つい流す所だった。

え、まじで?来たの?いつ?
やばいって、今や黒霧の家は誰も住んでない幽霊屋敷だろ。
異変に気付かれちゃないだろうな?

一番恐れてた事が起きちまったじゃねーか!
もっと早く、こうなる前に切り出せば良かったぁああああああああッ!!

一方の咲羅は必死に記憶を辿っているようで、
「確か…文化祭が終わって、その後だったかな?
忍が休んでた時、重要なプリント配られたから届けにと思って。
行く前にメールも入れたんだけど」

「文化祭が終わった後…?」
って言うと…
俺の携帯が壊れてた(純志麻戦参照)時じゃね?

葉月さんを何とか説得して新しい携帯を買っていただいたのは11月上旬だ。
て事はその前か?


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