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雪月花
12
「大体何なんだお前は。そのスジのヤツって事は判ったが、ハンターか?
俺とれいんを探してって…
何するつもりだ?
この街に派遣されたハンターがれいんだけってんで応援として寄越されたとか?
一緒に戦ってくれるってんなら、そりゃ大助かりだわ。
で、アンタ名前は?」

女は答えず、クスッと微笑んだ。

「…?」
微笑んだ女の左目の下に、さっきまでは無かった謎の模様のようなモノが浮かび上がっているのに気がついた。

それはまるで一筋な涙のような。
しかし、血のように赤い、紅い、涙の模様。

俺の脳内が疑問だらけになった頃、女は漸く口を開いた。
「一緒に戦う?」


その刹那――――

「あ…?」
俺の腹部に猛烈な痛みが走った。
ドクンと、心臓が脈打ったのを感じる。

ゆっくりと視線を腹部へと下ろしていく。

「クスッ……その逆よ」
刺されたのだ。
目の前の、名も知らぬ美人な女に。
しかし、これで確信した。

この女も奇術師とかの類いだ。

俺の腹を刺した凶器は、包丁とか、日本刀とか、そんなもんじゃない。
女の手が、まるで刃物のように鋭利になって、俺の体を貫いたのだ。
何だろう、俺の貫通技に似ている。

しかし何故に俺が刺されなきゃならない?
れいんの時と言い、新キャラが出てくる度に命狙われてんじゃねーかよ。
ふざけんな、俺が何をしたってんだ。


ズシャアアアア――――

女が勢い良く、俺の腹から腕を引き抜いた。
それと同時に吹き出る鮮血。
膝から崩れ落ちる俺。


朦朧とする意識の中、完全に思考が停止しようとする直前。
確かに俺の耳は女の声を拾っていた。

「私は裏切り者の六条れいんと、あの子を私から奪った黒霧忍を消すタメに機関から派遣された刺客」
「刺…客…?」
「あなたが永く、決して終わることの無い良い夢を見れますように」


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