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雪月花

神童一(しんどう はじめ)とは、俺がこっちに引っ越して来てからの付き合いだった。

俺が黒霧に引き取られ、こっちに来たのが中学1年の夏。
その時、一緒のクラスになったのが始まりで、かれこれ四年以上の付き合いと言う事になる。

中学、高校とも一緒になれば、嫌でも奴の話す時の動作も覚えさせられるワケだ。

「…忍、聞いてるの?」
と、咲羅がベッドから身を乗り出して問い掛ける。
「ん?ああ、悪い。何だっけ?」
「その夢って、どんな感じなの?って聞いたの」
彼女の目は好奇心に満ちていた。
人事だと思っているんだろうが、所詮人事なのだから仕方が無い。
俺はその夢の事を、できる限り鮮明に話してやった。
話を聞いている時の咲羅は、まるで子供が親に絵本を読んでもらっている時の様に、純粋な目をしていた。
俺は咲羅のこういう所に心から惹かれ、咲羅がピンチになった時。
絶対に助けに行ってやりたい――――
と、素直にそう思えるくらいなのだ。

「何なの、アサギクオンって?名前?」
「俺が知りてぇよ。なぁんか胸糞悪いんだよな。
あんな見ず知らずのオヤジに殺される夢なんてさ。
それに、今までは二ヵ月に一回くらいだったのに、最近じゃ三日に一回のペースで見てる。
俺の単位足りなくさせる気かっての」
「だから最近休みがちだったんだ…
今までは、って…結構見てるんだね。いつ頃から見てるの?」
言いながら、彼女はベッドから降りてくる。
そのくせ、毛布はマントの様に羽織ったまま、俺の隣りに座り込んだ。

「いつ頃だっけな…」
昔から見ていたのは覚えているのに、いつ頃から見ていたのかが思い出せない。
俺は人差し指を口に当て、黙って考え込んだ。

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