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雪月花
30
「葉月さんから?電話なんてあったのか。全然気付かなかったよ」

ずっと部屋にこもって調べ事に集中してたからな。
鳴り響く黒電話の呼び鈴にさえ気付かないなんて、自分の集中力の高さにはつくづく驚かされるぜ。

「で、用件は?俺に何か伝え忘れた事でもあったんかな」
「そうみたい」
「へぇ。葉月さんは何て?」
「願い事をちゃんと考え直すようにって」
げげっ。
あの人め。まだ念を押して来やがるか。

「あぁ。そ、そんな事か…」
「考え直すようにって、一体どんな願い事を言ったの?」
げげげっ!
れいんのヤツまで興味を示しやがった。

「別に大したことじゃねぇやい」
「そう」
あれれ?れいんは俺が例の願い事を口にしない事を追求してこない。
いつもなら何、とか言ってずんと詰め寄って来るハズだが。

「どうした聞かないのか?」
こうなると、別に聞かれないに越した事はないのだが俺としてもそんな事を口にしてしまう。
いつものリズムを狂わされるのも気持ち悪いしな。
しかしれいんは、
「興味ない」
「んだとテメェ!?しつこく聞かれてもウザいけど、聞かれなかったらそれはそれで傷付くぞ!?せめて興味くらいは持ちやがれ!」
「どうせ自分の事ばっかりな願い事なんでしょ?
ランプの魔神よろしく、願い事を1回じゃなくて3回に増やしてくれとか」
「ざ、残念でしたぁ!3回なんかじゃなくて何度でも叶えてくれって言ったんですぅ!」
「何てヤツ」
れいんまで床にこぼれた牛乳を以下略な目を向けて来やがった。

「うるせぇ!テメェにまで説教されたくないやい!
既に今日葉月さんの長ったらしい説教聞かされてんだ」
「…あのハヅキに説教させるとは、シノブもなかなかやるわね」
「あれはビビったよ」
言いながら俺は深々と頷いた。
俺だってあの温厚でヘラヘラしてる葉月さんに説教されるとは思わなんだ。

「まぁ願い事なんてどうでもいい。シノブはシノブで今回の件について色々調べたみたいだけど…」

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あきゅろす。
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