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雪月花
14、コーディネートはこうでねぇと
「ぐぬぅ…ふ、不覚ッ!」
凪に言われた通り、ルーを買って帰った俺が居間で最初に見たモノは、上記の様な捨て台詞を吐きながら床に横たわる薫の姿だった。
薫は目を押さえ、悶えている。

「何だこれは。何があった」
「シノブ、実はかくかくしかじかで」
と、いまいち現状が判っていない俺に隅っこで本を読んでいたれいんが言った。

「れいんよ、説明する気がないなら出しゃばるな。
今のじゃ俺も読者も薫の身に何があったのか皆目見当つかねーよ。もう一度チャンスをやるから何があったか懇切丁寧に教えてくれ」
「ふむ実は――――」
「おかっぱちゃんが勝手にケンカ売ってきて勝手に自滅しただけよ」
れいんにくれてやったチャンスは、台所から手を拭きながら現れた凪によって無に返された。
「どういう事だ」
「私が料理出来るキャラってのが腑に落ちなかったんでしょうね。敵対心燃やしちゃってさ。
威勢良く私も手伝う!って台所に来たかと思ったら、煮てた鍋のお湯が目に跳ねて自滅したのよ」
「まじか!」
我が妹ながら何やってんだよ!?
ってか皆放置すんなよ、手当くらいしてやれ!

「…ち、畜生。私だって…私だって料理くらい出来るんだ!だのにあんなお湯ごときに足許を掬われるなんて…ッ!」
散々放置されていた薫は目を押さえたまま、足をジタバタさせながら悔し紛れの言葉を吐き散らす。
「薫。冷やすから手をどけて?ね?」
と、今度は奥から氷水を手にしたユマッペが現れた。

しかし薫は、
「嫌だ!皆絶対笑ってる!恥ずかし過ぎて手なんてどけられないよ!皆からの視線が痛すぎる!!」
恥ずかしがってるだけかよ!!

「さっきからこの調子なんです」
ユマッペは参ったと言う顔を俺に向けた。
なるほど、一応手当はしようとはしてたのか。
薫が恥ずかしがって顔を見せないだけなのね。


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あきゅろす。
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