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雪月花
13
「何かあったんか?」
通話を終え、やれやれと肩をすくめながら携帯をしまう俺に、先輩が心配そうに言ってくれる。

「いや、夕飯の材料の買い忘れがあっただけみたいっす。だからついでに買って来てくれって」
「あぁ…なるほど」
そりゃ先輩もどんな顔して良いか判らないわな。

しかしお使いを頼まれたとあっちゃ、とっとと買って帰らないとならないだろう。
なんてったって俺が帰らない限り夕飯が完成しないんだもんな。

久しぶりに会ったんだ。本当ならもう少し先輩と昔話に華を咲かせたい所だが、致し方ない。
「そう言うワケなんで、今日の所はちょっと急いで買って帰りますわ。ドタバタしちゃって申し訳ないですけど」
「おぉ、気にすんなって」
「ちなみに、先輩はいつまでこっちに?」
「あぁ、冬休み入ったから帰って来たんだよ。ちょっとワケあって年末には向こう戻らないといけないんだけどな」
「お、じゃあまた遊ぼうと思えば遊べますね!
近いうちに神童も誘って遊びましょうよ、久しぶりにまた三人で!」
「いいねいいね。ならアドレス交換しとくか?そうすりゃいつでも連絡取れるし」
言いながら、先輩が懐から携帯を取り出す。
「そうっすね。交換しましょう」
俺もついさっきしまった携帯を取り出した。
アドレス交換なんて久しぶりだぜ。
何だろう、こう…赤外線で交換するワケだが、アドレスを交換してるこの間ってのは変に気恥ずかしく感じるのは俺だけだろうか?


「じゃあ、また近いうちに連絡しますよ!」
「おう。気ぃ付けて帰れよ〜!」
なんて、アドレス交換をちゃちゃっと済ませた俺達は何気ない別れの挨拶を交わした。
公園で先輩と別れた俺は足早にスーパーへと向かう。

ふと見上げた空には無数の星が転々と貼り付いていた。

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