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雪月花

最初は薫も凪の居候を快く受け入れていたのだが、
俺を刺した事、俺を冥界に堕とした事等を聞いてから、態度がうって変わってしまったのだ。
まるで二人は火と油で、凪が居座り出してからもう数週間経つと言うのに、顔を合わせる度にこうしてケンカをしている。
まぁ殴り合いとかに発展しないからまだ可愛いもんなんだが。

「そのチャームポイントのアホ毛、むしり取ってやるからな!」
「やれるもんならやってみなさいよ。
そしたらアンタの前髪、眉毛より上の位置で切り揃えてやるから」
「な、何おう!?」
前髪が眉毛より高い位置で切り揃えられた自分の姿を想像したのか、薫は顔を真っ青にし、言葉に詰まりギリギリと歯を鳴らす。
「幸いにも明日からは冬休み。24時間体制であなたの前髪を狙えるのよ。
月のない夜は気をつける事ね、おかっぱちゃん」
「お、己ぇ…」
フフンと意地の悪い笑顔を浮かべながら、凪はミカンをパクリと口に放り込んだ。


今凪も言った通り、俺達は明日から冬休みだ。
通知票はそりゃもう目を背けたくなる程に散々なモノだったが、俺達は何とか無事に二学期を終える事が出来たよ。

夏休み前ほどテンションは上がらないが、それでも2週間近い休みと言うのは喜ばしい事に変わりはないぜ。
冬休みは冬休みでクリスマスやら正月やら、夏休みよりも楽しみなイベントはあるしな。

そんで午前中に帰宅し、今に至ると言うね。


「ところでユマッペ。今日の夕飯はなぁに?」
と、あっさり口喧嘩で薫を下した凪は素知らぬ顔でユマッペの元へと駆け寄った。
「えと…今日はシチューにでもしようかなぁと」
「じゃあじゃがいもの皮剥きとか、私も手伝うわ」
「えへへ、ありがとうございます。助かります」
「良いってことよ。ほらほら、そうと決まったらさっさと始めましょう」
「は、はいっ♪」

積極的な凪に背中を押され、ちょっとだけ慌てながらもユマッぺと凪の二人は台所へと消えていく。

ユマッペは突然居座る事となった凪にまだ慣れていないようだが、あの二人は何だかんだで良い感じだし、心配するに値しないだろう。
両極端なタイプの二人だけどウマは合うみたいだし。

てかいつの間にか凪までユマッペって呼んでやがるのな。


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