[携帯モード] [URL送信]

雪月花


「でも、河川敷で暮らすにしても、食料を調達できるだけの資金は必要になるわよね?」
「世の中お金が全て」
れいんの言葉に凪は再びガックシと肩を落とした。

やがて立ち上がったかと思うと、今度はちゃぶ台の前を行ったり来たりし出す。
「何かこう…一攫千金を手にするチャンスとかないかしら。
一夜限りのギャンブルクルーズとかがあるなら是非参加したいところよ」
「カ○ジみたいな?」
「そうそう!私はじゃんけんでも鉄骨渡りでも何でもやってやる所存よ!」
「ナギ、鉄骨渡りに関しては私からアドバイスがある」
「なになに?」
「スカートでやらないように」
「そっか…下の人にパンツ見られちゃうものね」

普段なら既に何ヵ所にもツッコミを入れてる所だが、もうれいんと凪の会話は呆れ半分に聞き流す事にした。
思った通り、凪の登場ですっかり俺の手には負えなくなってしまった。
ボケの応酬が目まぐるしすぎて俺のキャパを超えてしまっている。

ってか、れいんはオタクっぷりを遺憾無く発揮しすぎだろ。
この短い間にどんだけ余所様のネタをパクって来るつもりだよ。

そんな馬鹿な話をしている俺達の背中から、
「ただいまぁ」
「おう。薫にユマッペ、お帰り」
薫とその検診に付き添っていったユマッペが帰宅した。

薫は凪を見るや顔をしかめながらズイズイと凪へと詰め寄り、
「アホ毛、まだ居たのか!」
「あら、おかっぱちゃん。お帰りなさい」
「私はアンタがお兄ちゃんにした事、まだ許してないんだからね!」
「何よぅ、ちゃんと謝って和解した上で私はここにいるのよ?」
言いながら、凪は薫の事なんて気にもせず、ちゃぶ台の上のミカンを手に取り剥き出した。

そう。凪はここに来たとき、自分のした事を全て自白した(亜種であるユマッペは居ない時の話だぜ)のだ。
しばらく厄介になるからと、凪なりにケジメを付けようとしての事だったのだろうが…
それが今のこの状況を作り出した全ての原因となってしまった。

[前へ][次へ]

5/83ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!