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雪月花
114
「シノブ!今助けに―――」
六条が俺の元に来ようとするが、行く手を吸血鬼の群れに阻まれた。
「くっ…退きなさい!」
六条が大きく振りかぶり、一気に大剣を振り抜く。
その一撃で吸血鬼が吹き飛び、大木にぶち当たった。
「コフーーッ!!」
その後すぐ、僅かな隙も与えず次の吸血鬼が六条目掛けて飛びかかる。一息吐く暇さえありやしない。
正直切りがない。


俺ももう四の五の言ってる場合じゃない。
とにかく一匹でも多く倒さねば、こっちがやられかねない。
六条も頑張ってる。俺だってやってやる。
今の一撃でダメージを負った左腕を押さえ、痛みを押し殺しながら立ち上がった。
俺の方へとやって来る無数の吸血鬼。
やられる前にやる。
俺は一度だけ舌打ちし、握った拳に力を込め、勢い良く地面を蹴った。


「はぁっ!」
居合いの如く速さで大剣を振り抜く六条。それをモロに食らった吸血鬼は見事なまでに吹き飛んだ。
その一方、
「ぐへぇっ!」
殴られ、電光石火の如く勢いで吹き飛ばされる俺。

「ていっ!」
先程の、六条の強烈な一撃を食らった吸血鬼に容赦なく大剣を突き刺す六条。
地面でもがくだけの相手に、一切の情けも無い。さすがである。
一方の俺は、
「あべっ!」
再びぶん殴られ、肋骨が粉砕された。
痛みで朦朧とする意識の中、何とか立ち上がる。


「うぉおおお!」
続いて六条は、右手に渦巻く炎の様なモノを発生させ、それを吸血鬼に向けて放つ。
吸血鬼は一瞬にして火達磨になった。
これが例の奇術ってやつか?
初めて目の当たりにした奇術に、目を奪われた。
「よっしゃ…俺だってやってやるぜ!うぉおおおお!」

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あきゅろす。
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