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雪月花
14
私と忍は、そんな綺麗ながら心細い道を歩いて行く。
ポケットに手を突っ込んだまま私の先を歩く忍。私はソレに遅れをとらないようにペースを上げた。
忍の隣りに並んで歩く。
会話が無いのも嫌だから、適当に今日の学校での出来事を話す事にした。
「そうそう、今日文化祭の出し物決まったんだよ?」
「そういや…もう文化祭なんだよなぁ。
結局お化け屋敷で決まったのか?」
「そう。忍が休んでる間にねぇ。
かなりの大差で決まったんだからぁ」
人差し指を立てて、意気揚々と語る私とは対照的に、忍は溜め息混じりに肩をせばめた。
「かったりぃなぁ…当日サボろうかな…」
「ダメだよ、そんなの。あ、もしかして自分達でやるお化け屋敷すら怖いとかぁ?」
私の少し皮肉の入り交じった言葉に、忍はふむ…と、静かに顔色を曇らせる。
そして私の方へと振り向くと、生真面目にも、まじまじと返して来た。
「いや、お化け屋敷云々の前にさ、オレはイベント事自体好きじゃ無いんだよ。
無駄に周りの連中のテンションが上がる、って言うのも苦手な理由の一つだけど、そもそも人込みが好きじゃないからさ。
別にこの高校に入ってから始まったって訳でも無くて、中学の頃からそうだった。
まぁ何を言われようと、中学の前はどうだったかはわからないけどな」
言って、彼は微かに微笑んだ。
「イベント事が嫌いって…暗い学園生活だねぇ?」
「お前なぁ…―――――」


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