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夢を見たい
さぁ、トリップだ。





それは突然のことだった。

ガソリンスタンドでの休憩も終わり仕事場に戻ろうと手中にある漫画を机の上に投げた。見事に机の上に落ち、内心ガッツポーズをしつつも、仕事を再開した。


「ふぅ…今日の仕事も終了♪」

なんかヤケに気分がよく、スキップしながら「お先に〜」と上がらせてもらった。

帰り道に欲しかった本を買い、近くのコンビニで酒も買えば家までダッシュして帰る。現在私は一人暮らし。
何でも出来る。裸になってだって踊れるのだ。←ぇ

……ちょっとそれは嫌だな。


ソファーにドカッと荷物を置き、Tシャツにショーパンと言うラフな格好に着替えれば酒を開けて、「ぷはぁ!!キクね〜!!」なんてまたもや親父臭いことを言ってみる。
鞄に入ってる新しい本を取り出せばバサッと"テニスの王子様"が床に落ちてしまった。

「あちゃ〜…持ってきっちゃったよ……」

友達のを勝手に読ませてもらって机の上に置いといたハズなんだけど、間違えて持って帰ってしまったようだ。


「…まぁせっかくだし読むか!」

久々に見てみると案外熱中してしまい、続きを見たくて押し入れに封印したそれを取り出し結局、10巻くらいまで読んでしまった。正確に言うと、関東大会の始めから見てそこから10冊読んだと言うわけだ。

私的には柳が好きだなぁ…あの落ち着いた雰囲気が。
あとは…手塚とか。



そんなことを考え、読み続けていればいつの間にか眠ってしまったらしい。
まばゆい光に包まれたのを知らずに…――









「…ん…ぁ…朝…?」

朝になり目を擦りながら時計を見れば、10時37分(ヤケにリアルだな)。仕事がとっくに始まってる時間だ。「やっば…!!」と焦りクローゼットを開けると……


「ん…?せ、制…服?」

仕事用の服もなければ、普段着もない。その代わりに若い子が着るような服一着と、制服がぶら下がっていた。
辺りを見回すも昨日読んでた漫画も無いし酒もない。それに内装も全然違くて、前はカントリー風な感じだったのに今はモノトーンだけど乙女さが出てる感じだ。

何故…

何故!!?



少し混乱状態に陥っていると机の上にポツンと紙があった。それを手に取り読んでみた。



「やぁ。
恵まれない家庭に生まれた若者よ。
今の人生には嫌気が差しただろう。
あの人に拾われなければ辛い人生を送ったね。
だが、そんな辛いものを背負わず、生きれるように私がこの世界へ送り込んだ。
あの人と離れるのは嫌かもしれないが、我慢をしてくれ。

さぞかし混乱もしているだろうから率直に言おう。

君は"テニスの王子様"にトリップした恵まれし者だ。

辛く、悲しい人間達に私達"神"からのプレゼントだよ。

君はそんな人間から私達に選ばれた幸せ者だ。
いらなくなんかないんだ。
君は必要とされている。


さぁ、第2の人生を楽しみなさい。――」






何だこの非現実的な要素たっぷりなのは……

「待てよ…ってことは…」


私は急いで洗面所まで行き自分の体を見た。


ない…

…胸も、

…背も、


あるのは少し幼くなった顔に、人並みくらいには出てる胸、それで平均以下の背。


「なぁぁぁぁあい!!!!!」





私は、若返りました。







あきゅろす。
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