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夢を見たい
あぁ…素晴らしい。





ヒューっと風が吹く。私は靡く髪を押さえながら青になった信号を渡る。
今日もまた仕事。
周りはスーツを着て暑くなってきた太陽の陽射しに目を細める。私も例外ではなく目を細め、空を仰ぐ。

今の季節は5月の下旬。
もうすぐしたら梅雨の時期で、私が最も嫌う季節だ。
あのジメジメした外の湿気が堪らなく嫌だ。汗がシャツにヘバりつき、その上雨が降る。「憂鬱だ…」と呟きながらも仕事場に急ぐ。

私は、今時の普通の一般人。今日はその一般人な私が通ってて、お世話になってるガソリンスタンドまで行く。
ガソリンスタンドは暑い中疲れるけど、意外に給料がいい。(まぁ今は中々働く人なんて居ないけど。給料落ちたし)でも、最初の方はタイミングが掴めず車に何度も突き飛ばされそうになった。←
だけど、大分慣れてきたし、何せ皆いい人達だ…!!



「いらっしゃいませ〜!!」

一生懸命に声を張り上げる。最近は「ガソリン満タン!!」と言う声がない。
もう少し前はそれもあって私も気分上々にガソリンを入れさせてもらったものだ。
だが、不景気な所為で今はパッタリとなくなった。
まぁしょうがないことだけど……

それに!!
自分でガソリン入れる人が増えて、私の人との関わりも無くなってしまった。(関わったら差し入れとか持ってきてくれる人居るし。)
私はあまり人とは喋らない。だが社交辞令とかはなるべくしていたから、このガソリンスタンドでは「愛想がいい娘」と言うレッテルを貼られるまでになった(笑)
まぁ今ではそれも失いつつあるんだけど。







「お疲れ。名前ちゃん。ちょっと休憩しな。」

「店長…!ありがとうございます。」


店長の有り難き言葉にジーンと感動しながら休憩をするため、帽子を取り室内に入った。
缶ジュースをプシュっと開け、ゴクゴクと豪快にイッキ飲み。「ぷはぁ!うめぇ!!」と親父臭いことを言いつつガソリンスタンドの友達が持ってきてた"テニスの王子様"を手に取り、パラパラと捲る。
私は昔、超ハマってたけど今はサほど興味ない。だっていい年こいた、もうすぐオバチャンの仲間入りな私がキャーキャー言ってたら馬鹿じゃん。←24歳

まだガソタン(ガソリンスタンドのこと)で働いてる私って馬鹿かな?
「もう少しいい仕事とかあるのに。いつまでも此処に居なくていいんだよ?」って店長に苦笑いされたなぁ〜…
ガソタンに入ったのは高校生の時。今では大分昔の話だ。そろそろ仕事変えた方がいいけど、なんか此処家族みたいで居心地がいいんだよなぁ。
皆優しいし、気遣ってくれるし…私にはないものがある。


「相当情が移ったな…私も。」



漫画を片手に窓から覗く空を見れば、雲一つない青空に穏やかな風が吹き、木々が揺れ、目を瞑れば草原にでも行ったように思える。

こんな青空が見れるなんて…

昔では考えられなかった。


「……ふふっ。」

自然と頬が綻ぶ。
あぁ、なんて素晴らしいのだろう…
この手中にある漫画の人達もこんな綺麗な青空を見ているのだろうか。それならそれで……


「嬉しい…な。」

私達には漫画の中の人物でも、彼らにとっては考えられないことだろう。
とても奇妙だろう…

だが…

私も漫画のキャラクターが居ればビックリもする。奇妙だとも思う。













「…トリップ…?。」


私は、第2の高校生活を送るらしい。








あきゅろす。
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