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小説
真下の住人
多少の不安はあったが、ここに入居することに決めた。
引っ越しも終わり、荷物を整理していると、階下から大きな物音がした。
真下の部屋からだろうか。心配になったので様子を見に行くことにした。

俺の部屋の真下、1階の真ん中の部屋の前まで来た。扉には相田、と表札が出ている。
「相田さん、いるんですか?」
少し経って、小さく返事が聞こえた。
「大丈夫ですか?さっきすごい音がしましたけど」
ノブに手をかける。鍵は掛かっていないようだ。
失礼します、と声をかけてから扉を開けた。

誰もいない。
死角にいるのかと思い、中に入ってみるが姿が見えない。

おかしい。確かに返事はあった。
部屋の中を見回す。俺の部屋と同じで入り口正面に窓、左手には押し入れが……

!?

地縛霊?!

いや、もしかして……

「あ、相田さん、ですか?」
「……初めまして」

彼は押し入れの床にめり込んだまま頭を下げた。変に律儀だ。

「何故そんな所に……」
「踏み抜いた……」
「踏み抜いた?!」
押し入れの整理をしていてこうなったそうだ。

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