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あかねのひとりごと 04
静かだなぁ……
弥子ちゃんは眠っています。
そして、弥子ちゃんの眠るベッドのほど近くに椅子を寄せたネウロ様も、また……
弥子ちゃんやネウロ様と一緒にいると、びっくりさせられることは多々あるんですが、これほど驚いてしまうことなんて、あんまりありません。
以前、おふたりがやっとキスしたのを知った時も、とても驚きましたが、それに匹敵しちゃいます。
勿論その変化は、はたから見ていて嬉しいものには違いないのですがね。
弥子ちゃんのネウロ様への警戒心は、少しずつ、だけど確かに薄らいでいったのはわかっていましたし。
けれど…
病室に戻ってきたらもう、言葉遣いは別として、元のように仲良くしているおふたり。
いったい何があれば、そんなにもすごい変化が?
ネウロ様に訊くわけにはいきませんし、訊いたところで教えて下さるとは到底思えません。
私をただ動くストラップとしか認識していない、今の弥子ちゃんは尚更です。
もう気になって気になって、眠れないんですけど!
椅子に腰掛けたまま、弥子ちゃんの顔に顔を近付けて眠ってらっしゃるネウロ様が…
寄り添って眠っているのとおんなじ様子のおふたりが、何だか幸せそうに見えてしまって、憎らしくなっちゃいますよ。
でもまぁ…
何があったかなんて、詳しくはわかりようがないですが、ある程度は想像がつきます。
昼間に、弥子ちゃんのお母様が、いったん病室を出たのに慌てて戻ってきたなんて、ヘンなことがありましたもの。
あの時お母様は、
『…やっぱり、あの記事の相手はネウロ君ってことか…』
なんて、小さく呟かれていました。
お母様が、お話があると看護士に呼ばれて再び出て行かれた後に、戻ってきたおふたりは既に以前とほぼ変わらないおふたりだったのですから…
『記事』とは以前の路上キスのことでしょうし、その後のお母様との会話を思い出すと…
屋上でキス…してたんでしょうね……
でも私が知りたいのはそういうことじゃなくって…
おふたりが、どんな会話を交わされたのか。
こればかりは、知ることなんて絶対出来ないんだろうなぁ…
それにしても、素直な弥子ちゃんの可愛らしかったこと!
そんな弥子ちゃんに弱いネウロ様の一面…
ストレートに好意を口にされて、絶句しドギマギなさるご様子は、失礼ながら可愛らしく。
弥子ちゃんの髪を洗う、甲斐甲斐しく、また非常にレアなご様子…
そして、どさくさに紛れて、一緒にお風呂に入る約束しちゃってたり…
すっかり忘れてしまっているキスの作法をさりげなくお教えになっていたり…
ネウロ様のキス魔ぶりが復活していたり…
『大好き』と言う弥子ちゃんに、お答えになったり…ほんとうの本音をふと漏らされたご様子が、微笑ましかったり……
随分放っておかれちゃいましたが、退屈はしませんでした。
いろいろ拝見出来て、楽しいひとときでしたよ、はい。
あぁ、それにしても…あかねは弥子ちゃんのトリートメントが恋しいです…
弥子ちゃんは明日の退院を不安に思っているようですが、ネウロ様がおられるならば、心配はないでしょう。
明日が楽しみです。
夜は、長いですね……
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