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あかねのひとりごと 02
眠れることなんてない、寒くて長いだけの夜を過ごすのは…
夜明けを、ただひたすら待ち焦がれて、その間の長い長いときが気鬱の種でしかない面持ちを持て余しているのは…
きっと私だけではないんでしょう……
ネウロ様は、眠っておられます。本当に眠っていらっしゃるかは、わかりませんが。
今日…どうしてもどうしても信じたくなかったことが、抗いようのない現実だと思い知らされてしまいました。
ネウロ様が、そのような意味のない、たちの悪過ぎる嘘なんてつかない方であるのはよくわかっているのに…
だって…信じたくなかったのだもの。
忘れられてしまう…
なんて悲しいことなのでしょう
そういえば…私がまだ生きていた頃、このような心境のときには、溢れる気持ちに任せて泣くことが出来ましたっけ…
でも
それでも弥子ちゃんは私を見つけてくれました。
「可愛い」って、言ってくれました。
ネウロ様の、ちょっと苦しい説明を、あっさり受け入れてくれたあのときの弥子ちゃんが、とても弥子ちゃんらしいと、私は…思いました。
それは、子供に立ち還っているからなのか、弥子ちゃんの生来の性格だからなのか……
突きつけられた現実がもたらした衝撃は、しばし抜けなかったし、それは今でも残るのだけれど…
反面、そのときの私はやっぱり嬉しくって。
ネウロ様が、私と弥子ちゃんの様子に複雑な心境を覚えておられたことは、もちろん承知していたのだけれど……
そう
弥子ちゃんが、以前では考えられない程にネウロ様に対して他人行儀だったのが、とてもとても気にかかりました。
時間が経つにつれ、徐々に薄れてはきたようでしたが、何らかの警戒心は、絶えず見え隠れしていました。
これではネウロ様はご機嫌を損ねても仕方ないでしょう。
でも、お優しく根気強く、接しておられました。以前の弥子ちゃんが今の弥子ちゃんにヤキモチをやくんじゃないかってくらい。
だけど…私…
ある程度のおふたりの関係を聞いても尚…
…ネウロ様は意識して肝心なことは仰いませんでしたが…
弥子ちゃんが、それでもネウロ様に対して警戒し他人行儀を解ききれないのが何故なのか…
わかってしまいました。
でも…ネウロ様には教えて差し上げません。
もっと悩まれて、もっと悶々となさればよろしいのです。
置いてけぼりにして、大切なことをすぐに告げて下さらなかったことへの、秘書であるあかねからの、ささやかな罰です。
明日も、ネウロ様は私を弥子ちゃんのところへ連れて行って下さるでしょう。
そしてネウロ様は、明日もまた、弥子ちゃんじゃない弥子ちゃんに戸惑いつつ、お優しくなさるんでしょう。
なんてったって、ヘタレなお方でいらっしゃるのですから。
…あ、何だか、いろいろ考えていたら、気分が晴れてきました。
明日を楽しみに……
変わらない弥子ちゃんの笑顔を、心待ちにして…
あかねは休むことにします。
それでは、おやすみなさい…
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