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〜有限の…〜 2−16

「ネ…ウ…」
 あたしは呼ぶ。無意識に、ネウロを。
「……」
「ネウロ…」
 やっとの呼びかけ。全身を侵蝕し続ける波が、かすれた声と一緒に逃げて紛れるような錯覚を覚えた。
 苦しい程の…快感…を、逃す術をあたしは知って、そっと、けれど長いため息を吐く。

 ネウロは顔を上げるだけ。呼びかけに、無言での応え。

 違う。あたしの様子を、見ている。
 あたしは首を振りながら、
「も…」
「もう…何だ」
「……っ…」
 言いたいことの万分の一も言えない。自分の言いたいこともまた…

 わからない
 …わからない…

 だからそんなこと訊かないでネウロ。あたしには答えられない。




「もう限界か?」
「………」

 かすれた声を耳元に低く響かせる。声にすら…刺激が積み上げられる。


 げん…かい?
 限界って…どういうこと?

 あたしは震えるばかりで、何も答えられない。





 それまで、どこまでも優しい手付きであたしを追い上げてきた筈の指の動きが、唐突に…少しだけ乱暴になって

 そして…入り込んできた。


「………!!」


 革手袋におおわれた、指、が……

 だけどそこは…あたしは…全く唐突ではないように、一気に、すんなりと受け入れたことが、わかる。


 あれ…おかしいよ。
 痛いって思ってたのに…


 あたしがおかしいの?
 それとも、お湯の中だから…?



 内側から何かを感じるのは、キスとよく似ている。けど、同じようでいて、全然違う感触と感覚だった。


「……熱いな」

 ひとこと、ネウロが囁いた。
 かすれた声も、あたしを更に追い上げる。

 熱いということは…
 あたしはネウロを更に煽ってしまってるって、こと。

 これ以上何かされたら、もう…もう……



 蠢く。探られる。
 片方の太股が引き上げられて、更に奥まで。



「…ネウロ…イヤ!…イヤだそんなこ……!」
 経験のないことをたたみかけられて、首を振りながら叫んでしまう。

 悪寒めいた感覚が、肌…からだの外側ではなく内側からうまれ続ける。
 ネウロのしてることは、まだまだ序ノ口の筈なのにという冷静な認識が、あたしを混乱させて追い詰めて…


「…嫌か?…」
 涙が零れたって、お風呂の中じゃ紛れちゃってわからないはず。なのに、ネウロはあたしの眦に舌を這わせて涙を舐め取った。


 イヤだ。イヤじゃない。


 イヤなのは…

 感じやすい自分。
 もっと追い求めてしまいそうな自分。

 恥ずかしくて、たまらなくて……



 涙とお風呂のお湯と。曖昧に濡れたあたしの顔をひとしきり舐め取ったネウロは、そのままあたしにキスをした。


 封じられた感覚の逃げ道。あたしは更に更に与えられて受け取るしかない。

 もう…もう

 ダメ、なのに……


「ぁ……ああぁぁ……!」

 唇が解放された途端、あたしは叫ぶ。
 未経験で強烈でキケン極まりない刺激に…打ちのめされて。




 指は抜かれて。手は離されて。

 あたしの意識は霞んでいく……



 ぎゅうっと抱きしめられた感じがした。次いで、ふわふわ、ゆらゆら。あたしの身体が揺れている。







 ……ずっと、一度も正面に向き合うことのないまま、だったね。

 やっぱり、ネウロはわからない…


 そんなことを、さいごに、思う……








[*前P]

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