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〜有限の…〜 2−15
それでも、ネウロが遠慮がちな手付きなのが、なんとなくわかる。
それが少しづつ薄らいでいくのもまた…からだでわかる。
『心配せずとも、「ヤコ」とはあくまでも風呂に入る約束をしただけだ』
…なんて言ってたことを、今更思い出す。
だけど…
湯船に入るのを躊躇ってたネウロを誘い込んだのは、あたしだ。
ネウロを煽って焚き付けてきたのは…間違いなく…あたしだ……
首筋に顔をうずめたネウロの唇と舌の柔らかい感触がたまらない。気持ち、いい。
うっとりと、されるがままのスキをついたのか、おへそ辺りをさわさわ撫で回していた指が、唐突に太股に滑りこんできた。
「ぁ…っ……!!」
そんなところまで触れられたことなんてない。慌てて後ろを振り返ると、瞳が交差する。見つめ返される。
ネウロは読めない表情をしていたけど。あたしは逆に…これまでとは比べものにならないすごい顔をしていたに違いない。
もの言いたげな唇が近付いて、軽く重ねられる。
すんなり受け入れて…あたしは無言のまま了承を示す。ことばは一切交わさないまま。
どう、ことばにできるというのか……
今まで聞いてきたいろんな情報で、そこは、感覚をセクシャルに訴える神経が特に密集しているのだと、あたしは解釈してた。
そのとおり…だ…
触れられるだけで電撃みたいに走り抜ける感覚は、ガマンするには酷な程。こんな所で声を上げるのは、外に響きそうで恥ずかしくもあって…手のひらで口を押さえて、かろうじて声を抑え込む。
ネウロが背後で笑った。ため息が混じったような、熱い笑みを。
堪えることは、自分の首を絞めることと同じだと、はじめて知る。感覚を押し込めてるんだから当然のこと。からだ中をじわじわ侵して、少しづつ確実に高まるそれは、悪循環。自業自得ともいえる結果は、指の隙間から、この狭い空間でかすかな響きを伴って漏れてゆく。
…ネウロにはどう聞こえるんだろう…
あたしは気にしてる。こんなときでも、そんなことを。
いつの間にか、熱めのお湯が蛇口から出しっぱなしになってた。
ネウロのせいであたしがからだを揺らす、その度に浴槽からお湯が溢れる。響く水音に声が紛れていく。
止めなきゃ、…って思うのに、腕をのばして詮をひねる、それだけなのに、今は出来なくて。
もどかしい触れ方だったのが、だんだん的確になってくるのがわかる。胸に絶えず触れていたもう片方の手も、同じように。
あぁ、こんなときでも…あたしの反応、ちゃんと見てるんだな、コイツってば……
頭がぼーっとなって、でもそこだけは冷静に考えて…
どんどんのぼせていく。熱い湯船に浸かりすぎたせいでもあるけれど、ネウロの…唇や指のせいなのは、間違いなくて。
時々、ネウロは唇に触れる。さっきまでとは逆に、さっきからずっと、あたしの方が煽られて、追い上げられてく…
いやらしい…恥ずかしい…
こわいけど…こわくない。
このカンジに戸惑うばかりだけど…その先にまだ何かがあること、わかってるけど…知らない。
知らないけど、わかってる。
あんたとなら、そうなっていい。
あんたじゃなきゃ、イヤだから……
でも…ほんとうのほんとうは、やっぱりこわいんだ…
…なんて……
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