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〜有限の…〜 2−07
あたしの考えてることなんかお構いなし。
ぷちぷち、小気味良い音を立てて、ボタンが外されてく。妙に無表情なのが、怖さをちょっとだけあおってるなんて、コイツにはわからないか…
シャツのボタンが全部外れると、スカートのホックに手がのびた。
順番が何かヘンだと思うのは気のせい?
こだわりがあるみたいで、そうでもないみたいで…
いや、身に付けてるものを、みーんな手ずから脱がせたい(あたしが自分で脱げないってのもあるけど)時点で、十分こだわりがあるか。
スカートがストンと落ちると、前が丸開きのシャツと、丸見えの下着姿。うわぁ…と思った途端、肩を掴まれて、くるりと後ろ向かされた。
少しは恥ずかしくなくなった…けど…
もしかして…ネウロも恥ずかしいのかな?
手付きはやたら優しい。ネウロのドSっぷりなら、引き裂くとかひんむくとかしそうだけどね。
いや、しなくていいけど…
考え事ばかりしてるのは、そうでもしてないと恥ずかしくて、立っていられないからだ……
そうこうしてるうちに。
すっかり真っ裸だよあたし!
後ろ姿とはいえ、ネウロにはじめてさらしてるんだよ、こんな姿を…!!
恥ずかしいやら何やらで、今すぐ座りこみたい…!!
…と、ふわりとタオルが落ちてきた。
「……」
振り返って見上げると、ネウロはふいっと横を向く。
「良心とかいうやつだ」
とか、呟いてる。
「…ふぅん。あんたにそんなのあったんだ」
「失敬な奴だな貴様は。ならばそのタオル、ひんむいてやっても良いのだぞ」
「ゴメンナサイ」
ちょっとだけ微笑んだネウロは、ジャケットをぞんざいに脱ぎ出した。思わず視線を逸らそうとしたあたしの体は、いきなり抱え上げられて、驚いた。
え? それだけ? ジャケット脱いで、スカーフを外しただけ…あたしだけすっかり脱がせて、浴室に直行?
…ひとには服を脱ぐものだろうとか言っといて、あんたはちゃっかり着衣入浴かよ…!
「不公平だ!」
足をバタつかせて抗議すると、ネウロは「なるほど…」とでもいうような表情で、脇に抱えたあたしを見下ろす。
「フム、不公平か…確かにな。ということは貴様、我が輩にも脱いで欲しい…と?
それはそれで構わんのだが…」
色気と他の何かがないまぜになったような、妙な表情で囁く。
「…ならば当然、『心配せずとも』云々は撤回することになるが、良いのだな?」
「はい! そのままのカッコでいいです」
「………」
あたしの答えに、ネウロは苦笑が混じったような、ヘンな笑みを浮かべるだけだった。
思わず即答しちゃったけれど…
あたし、まだ覚悟足りてないんだなぁ、やっぱ…
ネウロのヘンなところに、まだ甘えてるよね、完全にさ。
『男の人が女の子に服を買うってのは、それを脱がせる下心があるってコトだからね』
叶絵の言葉が、実は頭をずっとリフレインしてたけど…
セオリー通りにいかなくて当然なのが、この魔人なんだろうな。
全てが成り行きで行き当たりばったり。
もしかして、あの服、着せてくれたりするのかなぁ、この後。
なぁんて、考えたりも、する。
ネウロなら有り得そうで、それは…それだけは、期待してしまう。
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