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short
おとなげなき者は時に強し

※未来妄想話込み注意





 しんと静まり返る夕刻の事務所内。


 ソファではふたり横になっている。

 眠っているわけではないようで、探偵は小さな者をいとおしむように緩く抱き込み、時折体を撫でてやっている。
 抱き込まれた小さな者も、時折全身を委ねるように自分を抱く者に改めて縋り付く。こちらはうつらうつらしている。


 ……と。


 突如、ガチャリと鍵が開かれる大きな音が響いた直後、開かれた事務所の扉。

 だが探偵は動じることなく、そちらに視線を向けるのみ。



「ヤコー!
 また子供還りした父上のお相手させられてるのー?」
「お父様ったら、おうちにわざわざアカネちゃんを置いてってまでヤコに甘えたかったのー?」

 そう、不満げな心持ちを隠さずに口にするは、探偵とその“助手”の間に産まれた子ども達。
 二人の手に握られた携帯電話にぶら下がって、秘書のあかねが困ったようにふらふら揺れていた。


 “探偵”弥子に抱き抱えられた小さな者は、これまた機嫌の悪さを隠しもせずに、
「……ここは職場なのだと、我が輩もヤコも散々言ってきているだろうに……
 何故にそこまで親の言うことを聞かないのやら」
 と、忌々しげに呟くのだが……


 二人の子等は少しも怯まずに、
「「そんなことばっかり言って」」
「父上は」「お父様は」
「「ヤコを独り占めしてるばっかりじゃん!」」

「…………」
 あくまでもそのような言葉など聞こえていないと装うか……
 ひしと弥子に抱きついたままの、今は幼児に扮した己がご夫君を、苦笑を交えつつポンポンと叩きながら弥子は、

「私はね、三つ子を産んだ覚えなんてないんですけど?ネウロ」

 そう囁いてやると、“幼き”ネウロは、
「……ヤコは普段、幼い故に育み巣立たせてやらねばならない貴様らにいっとき貸してやってるだけなのだ。
 それを、いっとき返してもらって何が悪いのだ」
 と……そう嘯いた。


―やれやれ……―


 細君弥子と、ふたりの間の御子には、返す言葉などありはしなかったことは云うまでもなく……





※ ※ ※ ※ ※




昔、parallelに移動した(未来妄想)話の設定に、弥子ちゃんとネウロさんの間には双子が産まれるって話があったので、それを踏まえて突発的に

かなり昔に、ここ(short)に似たようなお話を更新した記憶がなきにしもあらずですが、気にしない気にしない


それと…

実は拙宅のネウロさんはかなり育児に積極的なのですが
(お子さんがたが弥子ちゃんをヤコと呼んでる時点でお察し笑)
それでも、愛情が分散されるのが面白くないっていうジレンマってのは、あっていいんじゃないかって思いますね

リアルでそんなのあったら、知らんがなですが!(笑)




読んで下さって、ありがとうございました!

20200911

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