short
キスの日に便乗してみよう
「ヤコよ」
「何よネウロ」
「今日は“キスの日”らしいぞ」
唐突にネウロはそんなことを言い出す。目を輝かせて。
「………………
それで?」
嫌な予感を目一杯感じつつ、私はかろうじて返した。
だいたい、ネウロが『キス』なんて単語を口にするのも……何だか聞いててこっ恥ずかしいじゃないの。
そーゆーことを数え切れないほどしてきてはいるけれど…それとこれとは全く別の問題でして……
私の戸惑いなんかお構いなしに、
「この波に乗らないのは忍びない。
この日に相応しいイベントを、我々もだな……」
私に迫るネウロの瞳は、爛々と、という表現がぴったり、だった……
ネウロが提案するのは、これからする一度のキスで、どちらかが飽きるなり我慢出来なくなるなりするまでキスする耐久レース。
飽きるとか我慢出来なくなるとか、どーやってジャッジするんだってツッコみたいけど……
まぁ…口実なんだろうなぁって。
だってコイツ、キスするの大好きなんだもの……もちろん私と、だよ。
仕方ないから、私から仕掛ける。
ネウロの肩に両手を引っ掻けて、視線を交える。
唇を軽く触れさせて、両手の指を伝わせていく。
…首筋に沿って、ゆっくり耳に向かって…
ちよっと目を開けてネウロの反応をうかがうと…
そんな私の仕草がシャクにさわったんだろう。急に強く私を抱きすくめて、深いキスを返してきた。
「…………ん……っ…んんっ……!!」
耳に達した私の手のひらは、急に高まった刺激に促されてネウロの頭に回る。自然と抱きしめる格好になってしまう。
ネウロはネウロで、キスで出来る限りの刺激を私に注ぎ続ける。
ネウロがしてくれるそれに、うかつにもただただ酔いしれるだけになってしまう私。
……くやしいなぁ……
結局、あたしはネウロには叶わないんだな……
そんなことをふと思っていると、冷たい革手袋の感触を、スカートがめくれた太ももに感じた。
「……我が輩の敗けだな…ヤコよ」
「…っ…
何で?」
どう考えても、私の敗けじゃない。
ネウロのキスに圧倒されちゃってたんだから。
「……我が輩、貴様が求めてくるまで待っているつもりはない……
と、言えば解るか?」
「………………」
私からキスしなくても、もしや結果は同じだったかも……
って思ったことは、内緒。
※ ※ ※ ※ ※
5月23日がキスの日だと知っての突発ネタ
ネウロさんが負けるのは、どうしようもないってことで(笑)
どうでもいいことですが、拙宅のネウロさんが“キス”という単語を口にしたことはありません(笑)
突発ネタにお付き合いありがとうございました
20200523
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