short
彼の彼女のまことと共に
俺は、あんたで良かったって思ってる。
だから、ネウロなんかには、敗けたくなかったんだ……
もうメソメソ泣かないって約束したってことは、この娘はネウロの前では泣いたことがあるんだろう。
そんなの、悔しいじゃないか。
俺を敗かした「女子高生探偵」から、ただのガキに引きずり下ろしてやりたくなるじゃないか。
そのためには……
「…ずるいよこんなの」
ずるくなきゃ勝てないよ、あんたには。あんたの向こうにいるネウロには。
そうじゃん? 最初っから。
「弥子ちゃん
悪かったな。俺のせいでつらい思いさせちまって。
でも…俺自身は何も後悔してないよ」
俺の中のこいつはそうだろう。
俺も、そうだ。けど…少しだけ違う。
この娘は、こんな風に容易く心を揺さぶれる、完璧な強さじゃない精神の持ち主で。
アイとは比べものにならないぐらいに、本当にただの女子高生…ただのガキだ。けど、ちゃんとした『芯』を持ってて。だからこそ…
もっと早く気付いてればって思うけど、いいや。
もう、アイはいないから。
探った時に、知ったこと。
あんた…俺を心配してくれてたんだね。
アイ以外に俺を心配するヤツがいるなんて…って、びっくりしたよ。
だから。
「会えて良かった…
ありがとう」
伝えてやる。
「こいつ」の本音を。
伝える。
…俺の本音、を…
「弥子ちゃんの食いっぷりとか、見てるだけで飽きなかったよ」
シンクロする前、俺も見た。見応えある食いっぷり。
アイがすごく呆れてた。でも、とっくに俺が飽きて余りまくってたカエル肉の在庫、かなり減らせたって、ちょっと喜んでたっけ…
「うん…
う"ん…」
……ああ、やっと泣いてくれた。
俺に「俺」を教えてくれた。
最後のさいごに、俺を救ってくれた。
俺だって、あんたに逢えて良かったって思ってんだからさ。
俺のせいで泣いて。
俺のためじゃないのはわかってるけど…俺のために泣いて。そう、思わせて。
それくらい……いいじゃん。
ごめんな。
…ありがとう。
さいごに傍にいるのが
あんたで良かった……
終
* * * *
潜ってからはじめて、久しぶりの更新になります
本誌のセリフを幾つか引用しました。全てではありませんが
]が変身した笹塚さんの「ありがとう」は、]本人のことばでもあると思ったから、このように
なんとなく、私がこれまで更新してきた]関連の文章の締めくくりのような感じがしなくもない
090418
<前へ><次へ>
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!