short
金も銀もかわらない
ある日の、いつもと変わらない、ネウロの食事の後。『謎喰い』の帰り道。
大っきな池があることで有名な、とある公園の中を突っ切ってたあたし達。あたしはいつものように頭を掴まれながら、引きずられるように歩いてた。
「…もう! いーかげんにしろっつーの!!」
ネウロのボケも、頭をつかむ力も…あんまりにもあんまりだったから、ちょっと頭にきちゃって、いつものようにツッコんだだけだったんだあたしは。
それも、胸を軽く叩くだけのね。
「あ」
ネウロはわざとらしい声をあげて、手を離して、足をふらつかせて…
どっぼーん
池に落っこちてしまっ……
…え…
「えええぇぇぇ……!?」
あ…あれ…?
これって、どーゆーコトなのかな……?
池のほとり、あたしは呆然と立ちすくんでのぞき込む。
ネウロが落っこちたあたりからは、こぽこぽと泡が浮かんでははじけて消えてってる。
うまい具合に、そのあたりに街灯が当たってて…あたしは目が離せなくなった。
すると
ネウロの落ちたあたりの水面が、不自然なほど明るくなってきたような感じがして…
水面からゆっくりと、何かが姿を現した……
あ…あれ…
神々しい光をまとった女の人は…展開上、女神様…?
アヤさんにそっくりなんですけど…!
『どうやらあなたは、落とし物をなさって、困っておられるようですね』
いやいやいや…
落とし物ってゆうのか? あのドS魔人は…?
『…あなたが落とした「助手」さんは…
笑っている「助手」さんですか?
泣いている「助手」さんですか?
それとも…
ドSな「助手」さん…でしょうか?』
「…ドSなネウロに決まってます、アヤさん。
ついでに言えば、あたしが落としたワケじゃないですから。
…たぶん」
何が何だかわからないけど、何か聞いたり読んだりしたことのある話だなー…なんて思いながら、あたしは正直に答えた。
アヤさ…女神様は、名前を呼ばれたことは完全シカ…スルーして、
『あなたは正直な方ですね。
ご褒美に、全ての「助手」さんを、あなたに差し上げましょう』
にっこりと、とっても神秘的に笑いながら、とーっても恐ろしいことを、無情にも言い放って、
『では…
正直なあなたに、幸あらんことを…』
音もなく、再び水面に沈んでった……
えー…と…?
『笑ってる』ネウロも
『泣いてる』ネウロも
そして…
ドSなネウロ、も…
あたしの前では、みんなおんなじネウロに見えちゃうのは、あたしの気のせいですかアヤ様女神様……
「「「…随分なことをなさるのですね先生。さぁ、覚悟はよろしいですか…?」」」
猫っかぶりの声三重奏は、とてつもなく、怖い。
ついでに、笑顔も、怖い……
あんまり怖すぎて、笑えてくるんですけど、あたし。
結論
ネウロはひとりで十分なんですってば…!!
終
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