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〜看る魔人〜 07
きっと…
恐らく…
間違いなく……
ヤコの熱がいけないのだ。
全てこの熱のせいなのだ……
ヤコの熱い額に、自分の額を重ね触れさせる。
我が輩は人間共より幾分か体温が低い。額と額を触れ合わせしばしすると、ヤコはうっとりと瞳を閉じる。
…反応は上々と思われた。
我が輩は、他の、熱が顕著な部分を探すことにする。
「かわいそうに、先生…」
ひとまず、ひとすじ涙を落としたあたり…眦から耳への肌…に唇をあて舌を這わせ、涙の跡を消し去る。
「…こんなに苦しまれるまで、僕に黙っていてはいけませんよ……」
ヤコは瞳を閉じたまま、微かに微笑む。
何故か胸が、チクリ、と痛んだような感覚…
「僕にこんな思いをさせて…先生は罪深いお方ですね…」
……我が輩は…何を言っているのであろうか……
熱の顕著と思われるところを探り当て、我が輩はそこに唇をすべらせる。
頬に、耳に、うなじに……
こんな時に我が輩は、ヤコの肌の白さと滑らかさとを、味あわされる……
……こんな時に我が輩は……
ヤコの、人間の儚さ故ともいえる熱さを…脳髄に、叩き込まれる……
「ネウロ…は、あったかくて冷たくて……気持ちいい」
ヤコが、うっとりと、囁く。
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