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〜看る魔人〜 04

「アカネ、留守を……」

 我が輩は命令を言い終わらぬ間に、事務所の窓枠を蹴る。






 ヤコの部屋へは、いつでも、『不法侵入』とやらだ。


 何の苦もなく入り込むと、ヤコはベッドに横たわり、ややうなされている模様。
 近寄って観察すると、頬は常より紅く、髪は汗ばんだ肌に張り付いている。
 何のまじないやら、額と後頭部とに、何やら置いている。

 階下に人の気配。これが恐らく家政婦であろう。



 見たこともない弱ったヤコ。こうなることはアカネにはわかっていたらしいのに、またも気付けなかった我が輩……



 全く以て、弱々しく情けない生き物よ…


 我が輩は胸の内で悪態をつくのだが……

 胸中とは裏腹に、捻れば容易く砕けてしまいそうな儚い風情から、目が離せない。



 ややして、乾いた風情の唇から微かに声が漏れた。夢でも見ているのであろうか。



 とっさに拾ったことばは…




 ……我が輩の名であった……




「ヤコ」

 思わず呼び掛けると、ヤコは応えるように、
「……ロ…じむ……行けな…て…ごめ………」
 …と………


「愚か者が…」
 額の生温い物体を取り去り、我が手をあてがう。








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あきゅろす。
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