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〜吾代受難〜 11

「ごっそさん、コーヒー美味かったぜ、秘書」
『あら、まだおかわりありますよ』
 俺はキレイな文字を盛大にシカトして、
「じゃ、また来っからよ」
 ダッシュでドアに向かう。


「もう帰るのか雑用」
 化け物が笑いをこらえるような声で言う。
「お構いも出来なくてゴメンね吾代さん!!」
 もう、いつもとは全然違う声で、探偵は言う。

 いや、もう、じゅーぶんだ。ごちそーさまだ。

「邪魔したな!!」
 それが、今の俺に言えた、精一杯の皮肉。

 エレベーターを待てず、俺は階段を一気に駆け下りて、ビルを出てようやく一息つく。

 やっと逃げれたっつー、安心感。

 いや、俺は今回珍しく、直接酷い目には遭わなかったが、今までで一番酷ぇ目に遭った。


 頑張れよ探偵。
 オメーはもー、こっち側には戻れねぇ……



 それにしても………

 さっき俺は、秘書に、
「…とうとうコイツら…デキたのか…?」
 と、こっそり聞いてみた。
 ま、聞くまでもねーとは思ったんだが……

 秘書は云った…いや書いた。
『キスもしたことないって、弥子ちゃん言ってましたよ』

 信じられっかそんなの!!





[*前P]

あきゅろす。
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