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〜吾代受難〜 05
「まだ終わっとらん」
化け物が言い、中指で指差す先には、俺が持ってきた段ボール。
探偵は大げさに、
「ええ〜!今ソレやんの!?
あ!!痛い痛い!!顎を頭にぶつけないで!!はい!やります!!やればいーんでしょ!!」
探偵もつくづくかわいそーな立場だよな。
…とか思ってたら、
「吾代、持ってこい」
化け物が顔をこちらにも向けず命令しやがる。
俺も、探偵に負けず劣らず、かわいそーな立場だよな……
さっきの手紙と同じ作業するんだろうと、探偵の…つまり化け物のでもある…足元に箱を置いだけどよ。
コイツら的な仕事の一貫とわかってても、あまりにもアヤしい光景なんで、間近くにくると目のやり場がねー。思わず目をそらしちまう。
探偵は女の子らしく、ペリペリとガムテをていねいにはがしてから、箱の中身を見る。途端に顔をしかめた。
「うわ、いっぱいあるよ。夜までかかっちゃうよコレ」
探偵はまた化け物を見上げるが、化け物は無言。
「はいはい、やればいいのよね…やれやれ」
諦めたように、ため息をついた。その様子は、亭主関白でワガママなダンナを持つ若奥様のよーにも見えちまうのが、おかしい。
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