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〜進展〜 06
「うっさい!!」
四通目。
「浮気調査…コレなんか、謎ありそうじゃない?」
「……………」
「…あっそ、ないのね」
五通目。
「殺人依頼…
怖!てか、頼むトコ違う!犯罪!!」
「フム、面白そうではあるがな…」
「どこが!!ぅあ痛い!痛い!!顎を頭に乗せないで!!音立ててぶっつけんな!!やんなら優しくしなさいよ!!」
「退屈だ。くだらん文面だらけなのだからな」
「あんたがこーしろって仕向けたくせにー!!」
…結局、『謎』を孕む封書は一通もなかった。
「ま、そんなもんか」
弥子は頭を撫でつつ、立ち上がる。
途端に、背中が寒々しさを訴えた。
弥子は給湯室へ向かうふりをして、さりげなく己の感覚を振り払う。
魔人を座椅子にしているというだけでも普通ではない密着度なのに、退屈だなどと、頭に顎を乗せられれば…自然に体は密着度を高めてしまう。
その温もりが心地良かったなど認めるのは悔しく、悟られるのはまた更に悔しかったから。
こういう時の弥子は、面白いほどわかりやすい。ネウロは笑みを堪えながら、
―面倒臭さ故の思い付きであったが、これは愉しいことを見つけた―
…と、思った。
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