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〜進展〜 03
「そんな訳だから、お茶はまた今度ね。
匪口さん、あんまお仕事さぼってると笛吹さんに怒られるから!!」
天然故か、どこまでも明るい声音。そして呆気ない別れ。
その鈍感ささえも可愛いと思っている。
……とはいえ、今はさすがに小憎らしい。
―あー…だけど……
アイツもきっとそー思ってんだろーね。あのコのあの様子じゃ……―
ビルの谷間から覗く角々しい青空を眺め、彼は同志の輩に、ざまぁみろという思いも込めた共感の意を抱く。
「ただいまっ!!」
いつもの挨拶。
『おかえり〜』
「…遅い」
いつもの返事。
「これでも、いっそいできたんだからねー。『遅い』はないでしょー」
弥子の言葉に、ネウロは片眉を上げた。
いつの間にこの生物は、『あからさま』な嘘を言うようになったのか…と、思う。
しかし、嘘と知っていることを知らしめることが出来ないのが、現実である。
学校からここまでの道中を、何時もとまではいわないが、見ている、なぞ……
弥子があれ以来、本能で感知したのか、男と話すなどする時は、わずかながら距離をおくようになっていることは、元凶であるネウロはよく知っている。
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