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〜進展〜 02
以前なら…この天真爛漫な少女は、話す時や一緒に歩く時、すぐ横にいたのだ。
しかし今は、ほんの少しだけ遅れて歩いてくる。離れて、いる。
その、ほんの少しの距離が、彼には気になって仕方ない。
聞いていいのだろうか。
それとも、たまたまなのだろうか……
そうこう躊躇している間に、事務所のある雑居ビルの前に着いてしまった。
−……はぁ……−
彼は思わず溜息をついてしまう。
あの恐ろしい化物…もとい助手には用事はないどころか、極力会いたくはない。しかし一緒に居れた時間はあまりにも短すぎて……
「桂木、仕事前にお茶しない?どーせこれからコキ使われんだろ?」
イチかバチかで誘ってみる、が。
「無理」
案の定のお断り。
しかも、即答。
「匪口さんだって知ってるでしょ」
少女はそれ以上は言わない。
―知ってるっての。
アイツのお前への執着っぷりぐらい…―
果たして少女の言いたいことと同じかはともかく、匪口は知っている。
助手が、自分の命をいっとき危機に晒してでも少女の命を優先したこと……
ーパッと見酷そーに見える行動の裏にある、ヤツの本心くらい知ってるよ。
…同志の共感ってヤツでさ……ー
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