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〜進展〜 01
少女の通うふた所の道のりの途中に、彼の新しく通う(サボリ兼充電用)カラオケボックスがあった。
いつものように、青年はそこで油を売っていた。
彼は頃合いを見計らい、店から出る。
ノートパソコンを小脇にしばらくウロウロしてみれば、学校が終わり、いつものように軽快な足取りで事務所に向かう少女を見つける。
「ナイスタイミング!!」
彼…匪口は、今日は運がいいらしい。1人密かに指を鳴らして、発声練習をする。
近づいてくる…
すれ違いざま、
「桂木!!」
呼びかける。
振り返る少女。
自分に気付いてもらえなかった、いささかの失望感は、
「あっ!!匪口さん!!」
甲高く可愛い声でいっぺんに吹き飛んだ。
立ち止まり息を整える仕草も可愛らしい…と、彼は思う。
「よー、これから探偵モード?相変わらず忙しそうだな〜桂木は」
「そーゆー匪口さんは、またサボってんの?暇人だね〜」
「キッツいな〜ソレ!」
さりげなく並んで歩きだす。
たわいのない会話。しかし、かけがえのない時。
だが、この時特有の敏感さを持つ彼は、気付いてしまう。
少女が、以前よりわずかな距離をおいていることに。
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