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〜不可解〜 09
はっきりしたことはわからないながらも、弥子は首を縦に数度振る。
魔人はいつでも結果だけ短く言う。そのきっかけや経過がわかるときはあるが、さっぱりわからないときの方が多い。
どちらにせよ納得し、ことば通りにすることに変わりはないのだから、原因や経過など、解っても解らなくとも、同じなのだ……
今のこの2人は。
まだ怯えを滲ませながらも視線は離さない少女に、魔人は知らず気持ちが和らいでゆく。
弥子はそれを察したか、少し落ち着いた口調で、
「……あんたが何を言ってるのか、よくわかんないところもあったけど…」
目前の碧い瞳に、呟く。
「…裏切るなんて、ありえないよ…」
「何故そう言える」
少女は小首を傾げる
「んー……」
―あんたがあたしを離そうとしないから……
だからあんたがあたしを手離そうとするなら、話は違うかもしんないけど…―
「…うまく言えない。どーいったらいいか、わかんないよ」
思いは思いに留めて、嘘をつく。魔人は面白くなく思ったが…追求はしなかった。
今は、
『…裏切るなんて、ありえないよ…』
そのひとことで、充分。
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