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〜不可解〜 07
ー限りなく明るい声音で…
この女は言ったのだ。
「大好き」…と。
『男』、に……
……そのことばの真意はどうであれ…………ー
ただそれだけのことであった…が、何故こうも苛立つのであろうか。魔人はそんな自分を理解しかねた。
故に、ことばを吐いた少女に苛立ちをぶつけるしか、すべがないのだ……
ネウロは笑みを浮かべる。
―愚かな―
自嘲とも、いえる笑みを。
少女を振り回しているつもりでいて、逆に振り回されている己は滑稽としかいえなかろう、と。
「…ワケ…わかんないよ。ネウロ…」
「……フン」
―…あ…、いつものネウロに戻ってる…―
苛立ちの原因だけは知り、冷静になってみれば、何ということはない。
この女は結局自分の元へ『帰って』くるのだから。
―それにしても…―
ネウロは思う。
仮にも魔人である自分が『能力』で、自分が傍に居ぬ間の少女の様子を見、聞いている筈のない言葉に苛立った…など、知られる訳にはいかない。
―まぁそれには気付きもしないのであろうが。この生物は…―
しかし…
刑事に多少なりとも敵意を向けられている以上、原因である弥子に釘を刺しておくことが、今後の為、必要かと思われた。
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